2022.04.22更新

2012年に父親から都内と神奈川県内にあるマンション2棟を相続したが、「路線価」を基に評価額を計3億3千万円と算定して、マンション購入時の金融機関からの借入金と相殺して相続税額を0円として申告しました。

 

しかし、購入時の価格は13億8,700万円で、不動産鑑定額も12憶7,300万円であったため、国税当局は「路線価」での評価は適当でないとして、約3億円の追徴課税をしました。

 

その後、相続人側はその課税処分の取り消しを求め訴えていましたが、国税当局の処分を妥当として一、二審で訴えが退けられたため、相続人側が最高裁に上告していました。その結果、4月19日に最高裁第3小法廷において国税当局の処分を適法とし、相続人側の上告が棄却され相続人側の敗訴が確定しました。

 

これにより、「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は(例外規定を用いる)合理的な理由がある」との判断が初めて下されたことになります。

2022.04.05更新

「財産債務調書」等の提出義務者の範囲が拡大されました。

 

○改正前
所得税等の確定申告書を提出しなければならない者で、退職所得を除く各種所得金額の合計額が年間2,000万円を超え、かつ、総資産3億円以上又は有価証券等を1億円以上保有している者が対象でした。

 

○改正後
改正前は、その年の合計所得金額が2,000万円以下の場合には、財産総額が高額であっても財産債務調書の提出義務がありませんでした。しかし、改正案では総資産10億円以上の者については、所得金額の如何に拘わらず提出を義務づけるものとしています。(令和5年分以後について適用)

 

また、提出期限については、改正前の翌年3月15日までを令和5年分以後からは翌年6月30日までとしています。(国外財産調書も同様)

 

なお、記載事項については、現行の取得価額100万円未満の記載省略基準(現金・美術品等を除く)を300万円に引き上げることにより、少額財産債務の省略範囲を拡大しています。

2022.03.22更新

国税庁から令和4年2月に発表された令和2年分(令和3年4月15日提出期限)の令和2年12月31日時点の「国外財産調書」の提出状況につきましては、総提出件数が11,331件、総財産額が4兆1,465億円でした。

 

その内訳の財産の種類別総額では、構成比順で有価証券が2兆1,225億円(51.2%)、預貯金7,208億円(17.4%)となっており、以下、建物、貸付金、土地の順となっています。

 

また、令和2事務年度(令和2年7月から同3年6月)における「国外財産調書」による所得税・相続税の実地調査の結果、過少申告加算税及び無申告加算税の特例措置を適用した件数及び対象となった増差所得金額は、軽減措置のあった事例が126件(増差所得等金額43億3,960万円)、加重措置となった事例が307件(増差所得等金額88億792万円)でした。

2022.03.14更新

企業オーナーの資産承継で、まず優先的に検討しなければならないことは、①会社の経営権確保と安定化、②遺産分割対策です。

 

会社における支配権を明確化させるためには、少なくとも自社株式の過半数(できれば3分の2)を保有させるように遺産分割をしなければなりません。

しかし、後継者だけに自社株式を承継させると、遺留分の問題が発生する可能性があります。一方で持株比率を切り分けてしまうと、会社の支配権の争いという大きな問題に発展しかねません。

 

このように遺留分と会社支配権の問題をクリアーできるような遺産分割対策が重要となりますので注意が必要です。物事の順番として、これらの問題に対策を講じた後に、相続対策としての納税資金対策や株式評価減対策(節税)を考慮された方がよろしいかと思われます。

2022.02.17更新

相続が発生して遺産分割が未了の間に、更に、その相続人の相続が生じることを「数次相続」といいます。

 

父(被相続人)の相続人は母と長男で、遺産分割中に相続人である母が亡くなったケースでは、父の遺産も母の遺産も長男のみが相続することになります。数年前までは、不動産登記の手続きや登録免許税の負担の関係もあり、ある種の中間省略登記として、最終相続人1名による遺産分割協議が登記実務上も認められていました。

 

しかし、東京高裁の平成26年9月30日判決及び東京地裁の平成26年3月13日判決を受けて法務局の見解が見直され、最終相続人1名での遺産分割協議は認められないこととしました、

 

つまり、母が法定相続分に応じて相続したものを、長男が相続するという段階的な相続をする形態となりました。ただし、税制面では、「数次相続」の場合の登録免許税の負担を時限立法で軽減する措置が講じられています。

2022.02.08更新

国民にとって土地は、主に生活の基盤である住宅用地等や資産投資の目的として所有されています。そして、令和3年6月に国土交通省が発表した令和2年度の「土地問題に関する国民の意識調査」によると、持ち家志向か借家志向かについて、「土地・建物については、両方とも所有したい」と回答した人が68.3%となっております。

 

しかし、一方で「土地は預貯金や株式などの比べて有利な資産か」という質問に対しては、「そう思う」と回答した人の割合が21.5%、「そう思わない」と回答した人の割合が27.3%、「どちらともいえない」と答えた人の割合が31.2%となっています。

 

更に、土地を所有している人が土地を所有していない人に比べて有利な資産と回答する比率が高く、それが大都市圏の方が地方圏より高くなっております。このように土地・建物の所有に関しては国民に様々な考え方があるようです。

 

また、上記の回答の中で特徴的なのは将来的に土地や住宅の相続について、何らかの対応(相続対策など)をしていると回答した人の割合は20%に満たず、何も対応していないと回答した人の割合は58%強になっています。この点については、相続のトラブルや相続税対策を念頭に置いた対応が必要ではないでしょうか。

2022.01.31更新

遺言によって相続人以外に財産を譲り渡すことを「遺贈」といいます。
遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類がありますが、どのように違うのかを説明します。

 

まず、包括遺贈とは、遺産の全部又はその分散的割合(例:全遺産の3分の1)、ないし、抽象的割合を指示するにとどまり、目的物を特定しないでする遺贈です。
なお、包括遺贈には遺贈する財産が変化しても一定の割合を特定の相手に遺せるというメリットがありますが、反面、遺贈者に借金(債務)があれば、遺言の割合に応じてその債務を負うというデメリットがあります。

 

また、相続人がいない人の場合は、養子縁組をする以外は、遺言で自分の財産全部を包括的に遺贈する人を決めて思いを遺すことができます。(全部包括遺贈)

 

これに対し、特定遺贈は、目的物を具体的に特定してする遺贈です。(民法964条)
例えば、自宅の土地を誰々に遺贈する、というように遺産のうち特定の財産を指定して受遺者に譲り渡すことをいいます。

 

このように譲り渡す財産が特定されているため、包括遺贈に比べると法定相続人との間で協議する必要がないので、トラブルが生じる可能性は高くありません。

2022.01.21更新

令和3年12月に令和2年分における相続税の申告事績の概要が国税庁より公表されました。

 

令和元年分 被相続人数(死亡者) 1,381,093人
      相続税の申告書の提出に係る被相続人数 115,267人

 

*つまり、1,381,093人が亡くなり、その内相続税申告に係る人が115,267人でした。

       その割合(課税割合)は8.3%

 

令和2年分 被相続人数(死亡者) 1,372,755人
       相続税の申告書の提出に係る被相続人数 120,372人
       その割合(課税割合)は8.8%

 

 

課税割合の推移                        元年 2年
全国      4.1  4.2 4.3  4.4   8.0   8.1   8.3    8.5     8.3    8.8
東京国税局   6.9  7.1 7.4  7.5 12.7  12.8 13.2  13.6   13.1  13.8
神奈川県                          12.6  13.5
東京都                           16.3  17.0
                            (国税庁)

 

都市部になるほど地価が高いため相続税の申告が必要な人の割合は高く、年々その割合は増えています。

2022.01.18更新

昨年の12月に国税庁より全国の相続税の調査等の状況が公表されました。


令和2事務年度(令和2年7月~同3年6月)においては、新型コロナウィルス感染症の影響によって、相続税の実地調査件数は令和元事務年度の10,635件に対して、5,106件(対前年比48.0%)と大幅に減少しています。

 

しかし、その中で、文書や電話での連絡又は来署依頼による面接によって、納税者と接触(簡易な接触)して申告漏れや計算誤り等を是正した件数は、令和元事務年度8,632件に対して、令和2事務年度は13,634件(対前年比157.9%)と大きく増加しました。

 

その結果、簡易な接触による申告漏れ等の非違件数は3,133件(対前年比137.3%)で、その申告漏れ課税価格は560億円(同131.1%)、追徴税額は65億円(同154.8%)といずれも簡易な接触事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となっています。

 

このように感染症によって人の接触が制限される中において、相続税の調査の方法も変化してきているようです。

2022.01.14更新

令和3年度の税制改正大綱において、相続税と贈与税の一体課税を本格的に検討していくことが織り込まれ、ショッキングなニュースとして報道されました。


令和4年度の税制改正大綱においても、その表現自体に変更はなく、現在のところ制度改正までは至っておりませんが、いずれにせよ、今後、実質的な増税傾向に向かうことは明らかでしょう。

 

贈与税の「暦年贈与」は最も手軽にできますが、ある程度の金額を後世に残していくためには年月を必要とします。しかし、現状の法制度の下では有効に節税できる制度でもありますので、計画的に実行されることをお薦めします。

 

それでは、「暦年贈与」で誰に贈与したらいいのかを考えるとき、税負担面で最も有利と考えられるのは、相続人にならないお孫さんやご親戚となります。なぜなら、相続の場合に贈与加算の対象とならないからです。


また、相続の時に、本来の相続財産を全く受け取らない相続人に「暦年贈与」していた場合も加算対象とされません。なお、相続人には3年以上経過した贈与は加算対象とされないこととなっています。

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