2024.02.22更新

Q:個人年金を受給中に相続が開始した場合の税務上の取り扱いについて教えてください

 

A:近年、公的年金に加えて個人年金に加入する人が増加しています。個人年金を受け取っていた人が死亡して、遺族が年金を受け取る権利(年金受給権)を取得した場合は、相続税などの課税対象となる場合があります。また、年金受給権を取得後にその年金の受け取り方によって、所得税の課税関係なども発生します。

 

ご質問の年金受給中の個人年金は、年金受給権が発生後の相続開始であることから、その権利はみなし相続財産として相続税の対象となります。つまり、年金受給権の残存期間を相続人が引き継いで年金を受け取る場合は、被相続人がそれまでに負担した保険料の割合分がみなし相続財産となって相続税の対象となります。

 

なお、年金受給権は死亡保険金ではないので、死亡保険に係る一人500万円の非課税枠は適用されませんので注意が必要です。

 

また、相続等により年金受給権を取得した人が、実際に金銭を受け取る場合は、年金方式か一時金方式のいずれかを選択する場合が一般的です。年金方式を選択した場合は、雑所得として所得税の課税対象となり(相続税の課税対象となった部分を除く)、一時金方式を選択した場合は、相続等で年金受給権を取得した人には所得税は課税されません。

 

このように、相続財産の中に年金受給権がある場合は、相続税などの税金以外にも検討すべきことが多いことから、生前から専門家に相談しておくことも必要なのかもしれません。

2024.02.15更新

Q:特定路線価について教えてください

 

A: 路線価とは、相続税や贈与税の申告における土地の相続税評価額の算定の基になる価格のことをいいます。通常、市街地の道路には路線価が設定されていますが、中には路線価がない道路もあります。路線価の設定されていない道路に接している土地等を評価する必要があるときには、路線価(特定路線価)の設定の申出をすることができます。(財産評価基本通達14-3)

 

上記のとおり、路線価がついていない場合に特定路線価の申し出ができ、その申出に基づき税務署長が評定しますが、次の要件を全て満たしていることが条件となります。
① 特定路線価の設定を必要とする年分の路線価が公開されていること
② 相続税又は贈与税の申告のための申請であること
③ 評価する土地が路線価地域にあること
④ 評価する土地は路線価がない道路の身に接していること
⑤ 対象の道路は評価する土地の専用通路ではないこと
⑥ 対象の道路は建築基準法上の道路等であること

 

なお、上記に従って税務署長より特定路線価が設定された場合は、基本的に設定された特定路線価で評価することとなり、その他の評価方法での評価ができないこととなりますので注意が必要です。

 

また、特定路線価による評価方法を選択せずに、前面の路線価で土地を評価する方法や旗竿地評価をすることで、評価額が下がり相続税を低く抑えることが可能な場合も生じます。
このように、評価方法でお悩みの場合は、相続税に詳しい税理士に事前にご相談されることをお勧めいたします。

2024.01.22更新

Q:複数の不動産を兄弟で相続することとなりました。不動産を共有した場合の問題点を教えてください。

 

A:遺産分割としては、法定相続分で分ける方法と遺産分割協議に沿って分ける方法があります。

不動産は預金の様にキッチリ分割ができませんので、どの不動産は誰が相続するか協議して決めていく遺産分割協議による相続が主となります。その際に、なるべく相続人間で揉めたくないということで不動産を共有することも多くあります。

しかし、不動産の共有名義には単独名義にはないデメリットがあります。現状では問題がなくても、将来的に各共有者の状況が変わったり、相続が発生したりで、問題が表面化するかもしれません。共有者が親族であっても訴訟問題に発展するケースがあるため、共有名義は基本的に避けることをおすすめします。

 

不動産を共有した場合のデメリットは次の5点があげられ、主に権利関係の複雑化が問題となります。

 

① 不動産の処分に共有者全員の同意が必要
② 不動産の使用や管理に共有者の話し合いが必要
③ 離婚時の財産分与が複雑になる
④ 相続によって共有者が増えていく
⑤ 持分割合と出資割合を揃えないと贈与税が発生する。

 

このように不動産を複数人で共有するために、使用・管理・処分においてトラブルが起こりやすくなるのです。また、共有者間の関係が疎遠になったり、次世代へ相続されたりしていくと問題解決が更に難しくなります。

2024.01.15更新

Q:不動産の登記が簡略化されたと伺いましたが、内容を教えてください。

 

A:令和5年4月1日から不動産登記法が改正されました。簡易な不動産の登記手続きが可能になったものの代表的なものは以下のとおりです。

 

〇相続人に対する遺贈による所有権移転登記(改正不動産登記法第63条第3項)
旧法では相続人への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは、遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要とされていました。これが、その不動産の遺贈を受けた相続人のみで手続きが可能となりました。但し、相続人以外への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要です。

 

〇買戻し特約に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第69条の2)
旧法では不動産所有者と買戻権者が共同して手続きをすることが条件とされていた買戻特約登記の抹消登記申請手続きが、買戻特約付き売買契約日から10年を経過している買戻特約登記の抹消については、不動産所有者が単独で登記申請することが可能となりました。

 

〇すでに実質的に存在していない法人の担保権に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第70条の2)
次の4つの条件を満たした場合、解散した法人の担保抹消登記申請を不動産所有者が単独ですることが可能となります。
① 抹消の登記義務者にあたる法人が解散していること
② その法人の解散の日から30年を経過していること
③ 「相当な調査」が行われたものの「清算人の所在が判明しない」ため、抹消登記が申請できないこと
④ 被担保債権の弁済期限から30年を経過していること

 

上記をはじめ、その他にも不動産登記手続きについての改正があります。詳しくは司法書士等の専門家にご相談されることをお勧め致します。

2023.11.09更新

Q:相続税申告における「家屋の相続税評価」についてお尋ねします。

 

A:家屋は、その利用状況等によって相続税評価に違いがあります。次のとおり、代表的なパターンでお答えいたします。


① 被相続人が利用していた場合
固定資産税評価額×1.0


② 第三者に賃貸していた場合
固定資産税評価額×0.7


③ 建築中の家屋の場合
費用原価の額×0.7

(費用原価とは相続開始時までに投下された建築費用をいいます。)

 

なお、固定資産税評価額は「固定資産税評価証明書」から確認します。また、建築中に相続が発生した場合は、請負契約書や領収書などから投下された費用を算出します。


また、上記以外のパターンの場合は、専門家にお尋ねすることをおすすめします。

2023.10.23更新

Q:ゴルフ会員権を相続しますが、相続税評価額の計算を教えて下さい。

 

A:ゴルフ会員権は昔と比較すると価格が下落していますが、それでも平均100万円程度と高額なため、相続税申告においては相続財産として評価し財産計上する必要があります。


具体的な相続税評価方法は次のとおりです。

 

① 取引相場のあるゴルフ会員権の評価
取引相場がある場合は、「通常の取引価格×70%」の算式によって評価します。なお、取引価格に含まれない預託金等がある会員権は「通常の取引価格×70%」に預託金等の額を加算します。

 

② 取引相場のないゴルフ会員権の評価 

*株式会員制のゴルフ会員権

ゴルフ場の株式の価値と同じになるため「取引相場のない株式の評価」に基づいて評価をします。

 

*預託金制のゴルフ会員権

返還される預託金が相続税評価額になります。


*プレー権のみのゴルフ会員権

相続税法上において財産価値がないため、相続税評価を行う必要はありません。

2023.09.12更新

Q:準確定申告をしたら還付金がありました。還付金の税務処理はどうなりますか

 

A:準確定申告による還付税額は、相続税の課税の対象となります。

 

 なぜなら、還付請求権が被相続人の死亡後に発生するとしても、被相続人の生前に潜在的な請求権が被相続人に帰属しており、これが被相続人の死亡により潜在化したものと考えられるためです。

 

したがって、これらの請求権に基づいて還付金を取得した場合は、相続財産に加算して相続税の申告をする必要があります。

2023.08.25更新

Q:国外財産の相続税評価と相続税はどうするの?

 

A:国外に所在する土地を相続する場合は、国内における路線価方式や倍率方式を適用して評価することはできません。そのため、財産評価基本通達に定める評価方法に準じて、売買実例価額や専門家の鑑定評価等を考慮して評価することとなっています。(財産評価基本通達5-2)

 

そして、課税上の弊害がない限りにおいて、その土地の①取得価額や、②課税時期において譲渡した場合の価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができるとされています。この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。

 

また、国外の財産には、日本の相続税と外国の相続税に相当する税が課税される場合があります。この場合は、外国と日本の二重課税を調整するために、外国で課税された相続税に相当する金額を日本の相続税から差し引くこととしています。 この制度を相続税の外国税額控除といいます。(相続税法20条の2)

 

つまり、国外財産について、その外国で日本の相続税に相当する税が課税された場合で、その国外財産を取得した者が日本においても相続税が課税となる場合については、日本の相続税額から外国で課された相続税に相当する税の一定額が控除されることになります。

 

なお、相続税の外国税額控除の適用要件は以下の通りです。
1 相続又は遺贈により財産を取得したこと
2 上記1により取得した財産が日本国外にあること
3 上記1により取得した財産について、その財産の所在地国において、相続税に相当する税が課税されたこと

2023.08.21更新

Q:相続税はいつまでに納めたら良いですか

 

A:相続税には「申告期限」「納付期限」があります。「申告」は申告書と添付書類を取り揃えて国に納めるべき税額を報告することを指します。「納付」は申告した税額を支払うことです。それぞれの期限は両方とも「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と規定されています。

 

納税は「納付期限」までに、原則として現金による一括払いとなっていますが、期限までに納付できない場合には、納税を延滞したということで延滞税が課されます。延滞税は「納付期限」の翌日から納付する日までの日数に応じて、半ば、自動的に課されるものです。

 

しかし、「納付期限」までに納付が困難なときは、延納又は物納の制度が認められる場合があります。これらの制度の要件は次のとおりです。

 

延納(以下の要件をすべて満たす必要があります)


・納付すべき相続税額が10万円を超えること
・金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・担保を提供すること(延納税額が100万円以上、又は延納期間が3年を超える場合)
・延納申請書を「納付期限」までに提出すること


なお、延納期間は原則5年です。しかし、相続財産のうち不動産等の価額の占める割合が75%以上である場合に限り、不動産等の価額に対応する部分の延納税額の延納期間が、原則として最長20年とされます。

 

 

物納(以下の要件をすべて満たす必要があります)


・延納でも金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・物納申請財産が定められた種類の財産で、一定の順位によっていること
・物納申請書及び物納手続関係書類を「納付期限」までに提出していること
・物納申請財産が物納適格財産であること

2023.08.17更新

Q:相続税の申告に係る「債務控除」について教えてください

 

A:相続税の「債務控除」の対象となる主な被相続人の債務(費用)は、以下のとおりです。

 

・金融機関等からの借入金残額
・未払金(相続開始時に確定しているもの)
・保証債務(債務者が返済不能で、返還(求償権)を受ける見込みがない弁済不能な債務)
・連帯債務(被相続人が負担すべき金額が明確な場合)
・被相続人の所得税の未納分
・土地や家屋に係る固定資産税の未納分など

 

また、相続税の「債務控除」の対象とならない主な債務(費用)は、以下のとおりです。


・相続人が相続登記をするための登録免許税および司法書士報酬
・香典返し、未払いの墓碑・墓地の買入費用、法要(49日など)の費用など

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