2019.01.10更新

相続税の節税のために子どもや孫に財産を生前贈与する高齢者の方が増えています。年110万円の非課税枠を生かして少額ずつ贈与しながら、教育費や生活費をその都度、非課税で援助する方法を併用することが効果的です。

 

贈与税にはもらう人1人当たり年110万円の基礎控除があり、これ以下の贈与なら税金はかかりません。子どもが3人なら、3年かけて1千万円近い財産を非課税で次世代に継承可能です。こうした「暦年贈与」によって財産が減れば将来の相続税負担は軽くなります。

 

贈与は贈る人だけではなく、もらう人が合意して初めて成り立つ契約行為です。親がお金を子ども名義の預金口座に振り込んでも、子どもがよく把握していなければ名ばかりの「名義預金」とみなされ、相続税の税務調査で課税されかねません。そうならぬよう子ども自身が預金通帳を持ち、口座を管理するのが大切です。

 

贈与の契約は口頭でも成立しますが、税務調査できちんと説明できるように親子がそれぞれ署名、なつ印し、契約書を作っておくほうが確実です。毎年こつこつ贈与していくにしても契約は1年ごとに交わす。「毎年110万円ずつ10年間で贈与する」などとまとめて一つの契約にすると税務上、1,100万円を一括して贈与したとみなされて贈与税がかかるからです。

 

子や孫らに生活費や教育費として必要な金額をその都度、贈る場合、贈与税はかかりません。こうした「都度贈与」によってこつこつと資金を援助していけばその分、非課税で贈与できる枠が広がります。都度贈与ではお金を直接支払いに充てて使い切ることが原則です。学費などは銀行口座に必要額ぴったり入金し、そこから同額を学校指定の口座に振り込むべきです。

 

多額の財産があり、それを継がせる子どもらが少ない人は、あえて年110万円超の暦年贈与をして贈与税を納めたほうが相続税を含めた税負担は小さい場合があります。5千万円を10年かけて子ども1人に贈与したときの実効税率を試算すると9.7%。相続した場合に比べて税負担は大幅に軽くなります。

 

生前贈与の節税効果についてとりわけ2次相続の際に多く表れます。ご夫婦がともに亡くなり、財産すべてが子ども世代に移るのが2次相続です。夫婦の片方が亡くなる1次相続では「配偶者の税額軽減」の制度により、少なくとも1億6000万円までは非課税になるが、2次相続時にこの制度は使えません。

 

ご高齢になってから暦年贈与を考える際は「持ち戻し」という税制上のルールに気をつけましょう。例えば子どもに贈与して3年以内に自分が亡くなると、相続税の計算上、その贈与はなかったものとみなされ、節税効果がなくなります。

 

そこで考えたいのが孫への贈与です。このルールの対象になるのは相続で財産をもらう人だけ。法定相続人ではない孫は、遺言で特別に指定しない限り対象にならず、贈与の節税効果を生かせます。ちなみに年300万円超を贈る場合、孫が20歳以上なら直系子孫への「特例贈与」の扱いとなり贈与税率は低くなります。

 

「贈与して大金を持たせると浪費してしまうのでは」と心配する方は、生命保険を活用してお金を引き出せないようにする方法があります。子どもに毎年110万円ずつ贈与し、それを保険料として子どもが支払う。親が亡くなったときに死亡保険金を受け取る契約にしておきます。

 

この死亡保険金は「一時所得」となり所得税がかかりますが、保険料などを差し引いて計算するので一般に実効税率は低いです。相続税で法定相続人1人につき500万円ある死亡保険金の非課税枠にも影響しません。

 

相続税のご心配がある方は、まずはこの暦年贈与から節税対策を組み立ててはいかがでしょうか。

私共の事務所では贈与税試算(対策のご提案)を行っております。詳細につきましては当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

2019.01.07更新

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