2023.08.21更新

Q:相続税はいつまでに納めたら良いですか

 

A:相続税には「申告期限」「納付期限」があります。「申告」は申告書と添付書類を取り揃えて国に納めるべき税額を報告することを指します。「納付」は申告した税額を支払うことです。それぞれの期限は両方とも「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と規定されています。

 

納税は「納付期限」までに、原則として現金による一括払いとなっていますが、期限までに納付できない場合には、納税を延滞したということで延滞税が課されます。延滞税は「納付期限」の翌日から納付する日までの日数に応じて、半ば、自動的に課されるものです。

 

しかし、「納付期限」までに納付が困難なときは、延納又は物納の制度が認められる場合があります。これらの制度の要件は次のとおりです。

 

延納(以下の要件をすべて満たす必要があります)


・納付すべき相続税額が10万円を超えること
・金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・担保を提供すること(延納税額が100万円以上、又は延納期間が3年を超える場合)
・延納申請書を「納付期限」までに提出すること


なお、延納期間は原則5年です。しかし、相続財産のうち不動産等の価額の占める割合が75%以上である場合に限り、不動産等の価額に対応する部分の延納税額の延納期間が、原則として最長20年とされます。

 

 

物納(以下の要件をすべて満たす必要があります)


・延納でも金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・物納申請財産が定められた種類の財産で、一定の順位によっていること
・物納申請書及び物納手続関係書類を「納付期限」までに提出していること
・物納申請財産が物納適格財産であること

2023.08.17更新

Q:相続税の申告に係る「債務控除」について教えてください

 

A:相続税の「債務控除」の対象となる主な被相続人の債務(費用)は、以下のとおりです。

 

・金融機関等からの借入金残額
・未払金(相続開始時に確定しているもの)
・保証債務(債務者が返済不能で、返還(求償権)を受ける見込みがない弁済不能な債務)
・連帯債務(被相続人が負担すべき金額が明確な場合)
・被相続人の所得税の未納分
・土地や家屋に係る固定資産税の未納分など

 

また、相続税の「債務控除」の対象とならない主な債務(費用)は、以下のとおりです。


・相続人が相続登記をするための登録免許税および司法書士報酬
・香典返し、未払いの墓碑・墓地の買入費用、法要(49日など)の費用など

2023.07.27更新

Q:遺贈の場合、受遺者は「遺贈の放棄」をすることはできますか?

 

A:遺贈には包括遺贈特定遺贈の2つの種類があります。包括遺贈とは、遺産に対する割合を示して遺贈を行うことです。例えば、「相続太郎には、遺産の5分の1を遺贈する」という形で遺贈を行います。また、特定遺贈とは、特定の財産を示して遺贈を行うことをいいます。例えば、「相続二郎には、A不動産やB預金を遺贈する」という形で遺贈を行います。

 

この2つの遺贈の種類によって「遺贈の放棄」の方法が異なりますので注意が必要です。そもそも贈与とは贈与者と受贈者との合意による契約ですが、遺贈は、遺言した人の一方的な意思表示です。そのため、受遺者が期待しない財産を貰ってしまうことがあります。また、相続人には遺留分という最低限に認められている権利があり、遺贈の仕方によっては、この権利を侵害して相続人と争いになる場合があります。生前の贈与の場合は「あげます」という申し出に対して「いりません」と断ればよいのですが、遺贈の場合は「遺贈の放棄」の手続きが必要となります。

 

具体的な「遺贈の放棄」の方法は、上述のとおり、包括遺贈と特定遺贈の2つの種類によって次のとおりとなります。

 

①包括遺贈の場合
包括遺贈の場合には、相続放棄と同様に家庭裁判所に申述をする方法になっています。申述は、申述書と遺贈がわかる書類を亡くなった方の最後の住所を所轄する地域の家庭裁判所に提出して行います。なお、包括遺贈は相続放棄に準じて行うことになりますので、包括遺贈があったことを知った時から、原則として、3ヶ月以内に申述をしなければならないという期間制限があることを知っておく必要があります。

 

②特定遺贈の場合
特定遺贈の場合には、上記①のような手続きの制限がないので、相続人や遺言書について遺言執行者がいる場合には同人に対する意思表示で行います。一般的に、実務上は「遺贈の放棄」をしたことを公に示す手段として内容証明郵便で行います。

2023.07.19更新

Q:被相続人が契約していた貸金庫の相続手続きについて教えてください

 

A:① 被相続人が貸金庫を利用していた場合は、相続手続きが必要となります。なぜなら、貸金庫の中に相続財産が入っている場合もあるため、金融機関での煩雑な手続きを踏んだ上で、中身を確認する必要があるからです。


  ② まずは最初に、貸金庫の利用の有無を確認します。一般的には、預金口座の通帳を確認すると、利用料金が引き落とされていることが多いので発見が早いです。貸金庫の鍵は借主と、あらかじめ届け出た代理人が使用できます。しかし、契約者が死亡した場合は、代理人は事後の相続人間の相続トラブルを回避するために、他の相続人や金融機関に無断で貸金庫の開閉はしない方が無難です。


  ③ 金融機関は、契約者が死亡したことを察知すると、預金口座の凍結と同時に貸金庫の開閉もできなくしてしまいます。そして、貸金庫を開閉するには、例えば、相続手続書類に相続人全員が署名捺印するなどの手続きが必要となります。 また、相続人全員が(同席できない相続人は委任状)貸金庫のある金融機関に赴き解約手続きをして、貸金庫のカードや鍵を返却します。これらの手続きを経て、やっと、貸金庫に案内してもらい内容物を受け取ることができる運びとなります。

 なお、相続人の全員の足並みが揃わない場合は、公証人の立ち合いの下、確認作業をしてもらうという手段もあります。

2023.07.10更新

Q:生産緑地を相続することとなりました。生産緑地を存続させるか、また、売却するか迷っています。

 

A:①生産緑地として、長期間にわたり保有・管理を継続する場合

 

生産緑地は農地課税となります。したがって、保有・管理をしている間は、農業経営(耕作)を継続しなければなりません。しかし、税金面では、固定資産税について、生産緑地が市街化区域内にありながら農業以外の利用が制限されるため、一般農地並みの課税となり、約100分の1程度に低く抑えられます。

 

また、相続税については、納税猶予の手続きを行うと、農業投資価格を超える部分の課税価格に対する納税が猶予されて、その相続人の死亡等の一定の場合には、その猶予額が免除されるメリットがあります。

なお、生産緑地を相続した場合は、農地の所有権移転登記と農業委員会への相続の届け出が必要ですし、相続税の納税猶予制度を適用する場合は、税務署に申告手続きが必要となります。

 

  ②生産緑地を住宅用地(宅地)として売却する場合

 

相続した生産緑地を売却する場合は、相続人は生産緑地が所在する市町村長に対して、生産緑地の買い取りの申出を行います。買い取り申出ができるのは、死亡時、又は、生産緑地の指定を受けてから30年を経過した日になります。

 

生産緑地の買い取りの申出を行うと、1ヶ月以内に買い取るか否かが市町村長から通知されます。買い取る旨の通知があった場合は、時価を基本として協議の上、価格が決定されます。買い取らない旨の通知があった場合は、市町村が農林漁業の従事希望者への斡旋を行います。斡旋後、概ね2ヶ月以内に購入希望者が現れなければ、生産緑地の行為制限は解除されて、転用(宅地等)目的として第三者との売買が可能となります。

 

ただし、生産緑地の行為制限の解除と同時に、固定資産税の軽減措置等はなくなり、相続税の納税猶予も受けられなくなりますので、各種税金の負担が大きくなります。

2023.06.30更新

Q:親から土地を借りて家を建てた場合に贈与税の対象にならないか不安です。

 

A:親の土地に子が家を建てるために無償で、その土地を借りる場合は、贈与税はかかりません。この無償で借りることを「使用貸借」といいます。

 

厳密にいうと、贈与税の取り扱いにおける「使用貸借」とは、民法593条に規定する契約となります。この契約は、他人の物を無償で借りて使用及び収益するという契約で、無償という点で賃貸借と異なります。

 

しかし、相続税及び贈与税の取り扱いは、有償であっても対象土地の公租公課に相当する金額以下の金銭の授受である場合には、「使用貸借」に該当するとされています。

しかし、対象土地の借り受けについて地代の授受がないものであっても、権利金やその他の地代に代わる経済的利益の授受のあるものは、「使用貸借」に該当しないとされています。

(【通達】「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取り扱いについて」(昭和48年11月1日直資2-189(例規))

 

なお、上記の取り扱いは、あくまでも個人間の「使用貸借」に限るものであり、法人が当事者となる場合は、取り扱いが異なりますので注意が必要です。

2023.06.08更新

Q:高齢となり、認知症の発症が気になっています。収益不動産を複数所有していますが、最近は記憶力や体力の衰えを感じ、このまま不動産管理が続けられるかがとても不安です。子供たちに財産管理を任せる「親子信託」について教えてください

 

A:お尋ねのとおり、親が認知症になって判断能力を失ってしまった場合、不動産の管理や処分等ができなくなってしまいます。したがって、入居契約や大規模修繕もできなくなり、売却しようとしても、そのタイミングを失することもでてきます。

 

このようなことが懸念される場合に親子間の信頼関係に基づいて信託に落とし込むのが「親子信託」です。

 

具体的には、財産の所有者である父親が「委託者」となり、その委託を受けて実際に財産を管理する「受託者」が子という設定が一般的です。また、信託された財産から生じる収益を受け取る「受益者」は生前の間は父親とし、父親が亡くなった場合は、その配偶者とするケースが多いようです。

 

そして、その配偶者の死亡時に信託を解消して、相続財産にする形にするのが望ましいでしょう。このようにして「親子信託」を活用すれば、お尋ねのような財産管理の不安が解消できるのではないでしょうか。

 

なお、信託契約を締結する際には、信託法や税法上で様々な要件や規制がありますので、詳しくは専門家にご相談されることをお勧めします。

2023.05.30更新

Q:父が亡くなり、父名義の実家を相続することになりました。

私は、現在、持ち家に住んでおり、実家に住む予定もないので売却するつもりです。この場合、実家の「相続登記」をせずに売却できますか?

 

A:相続した実家は、そのままでは売却できません。売却するためには「相続登記」が必要となります。

 

なぜなら、不動産に関する権利は、権利変動を正確に記録しなければならないとされており、民法177条によって登記をしなければ第三者に対して主張できないことになっています。

したがって、ご質問の場合は、相続した実家はあなたが所有者であることを買主に主張する必要があるために登記名義変更(「相続登記」)を行う必要があるのです。

 

なお、「相続登記」の申請手続きは自分でもできますが、専門の司法書士に依頼することもできます。

 

また、相続した不動産については、相続税だけではなく「相続登記」をしたときの登録免許税不動産を保有している間の固定資産税不動産を売却したときの所得税など、それぞれに種々の税金が絡んできますので、税金のことは税理士にお尋ねになることをお勧めします。

2023.05.09更新

Q:土地の「地番」と「住居表示」の違いについて教えてください。

 

A;土地の「地番」とは、その土地の場所を示したもので法務局が定めています。

 

一方、「住居表示」とは、住居表示法という法律に則り、建物の場所を市町村が定めているもので、前記の「地番」とは全く別の番号となっています。

 

ただし、「住居表示」は全ての市町村で実施されているものではありませんので、実施されているかどうかは各役所のホームページなどを確認する必要があります。

 

また、現代においてはインターネットで地図検索ができますが、検索される対象は「住居表示」であるため、土地だけであるような場合や「地番」を基にネット検索をしても不動産の場所が特定できないことになります。

 

このような場合には、法務局に備え付けられている公図を取得して場所を特定することとなります。

2023.04.28更新

Q:家族信託(民事信託)の信託財産は遺産分割協議の対象にならないのですか

 

A:家族信託(民事信託)とは、信託契約の一種で、一般的には「委託者」「受益者」となるケースが多く、「受託者」が信託財産を管理・処分等を行います。信託法上では、「委託者」が信託財産とした財産の所有権は「受託者」に移ります。しかし、課税法上は、その財産は受益権という権利に変って、原則として「受益者」のものとみなされます。

 

お尋ねの場合は、上記のとおり家族信託において信託財産は「委託者」の財産ではなくなり、原則、「受益者」のものとみなされますので、信託契約をした後に「委託者」が死亡した場合は、遺産分割協議の対象財産とはなりません(受益者がいない信託を除く)。ただし、この受益権を相続により移転する場合は、所有権を相続により取得する場合と全く同様に相続税が課税されます。

 

また、信託財産以外の委託者の財産についても相続手続きが行われることとなりますが、ここで、注意しなければならないことがあります。それは、「委託者」としての地位も相続の対象となってしまうことです。

 

つまり、「委託者」の相続人が「委託者」の権利を引き継ぐこととなるのです。このことは、「委託者」の権利を相続人の誰が引き継ぐかという争いのもととなりかねません。この問題を解決するためには、信託契約の条項に「委託者」の死亡により「委託者」の権利が消滅することを特約として加えることになります。

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