特集
疑問や不安もこれでスッキリ
円満に相続を終えるには?
TAOマネジメントグループ 土屋会長に聞く
相続について多くの人が疑問や不安をお持ちでいらっしゃると思います。長年相続税の申告業務を手掛けてきた土屋がQ&A方式で皆様のご質問にお答えしていきます。
平成27年に相続税が改正され、申告件数が増加していると聞きました。申告時どんな点に注意されていますか?
今は従来の相続件数の倍近い申告件数といわれています。それだけ多くの方が相続税について関心をもたなければいけない状況になっていると言えますし、またこれをビジネスチャンスと捉えたさまざまな業界で関心が高まっています。私たちは「書面添付制度」を徹底的に活用しています。これは申告内容について詳細な説明を記した書面を申告時に提出する制度です。申告件数が増加すると税務当局も人手が足りなくなります。その時にこの書面があれば、確認する手間や時間を大きく省略することができると考えています。
TAO税理士法人の特徴を教えてください。
みなさんの相続が円満に終わってほしいと切に願い、専門のスタッフを充実させています。昨年からは税務署で35年相続業務に携わった税理士も加わり、より専門性を高めています。
相続を迎える際、何からすべきでしょうか?
まずは相続税がかかるのか、かかるとすればどのくらいの金額か、そして、事前にするべき対策はあるのかを調べ、知っておくと良いと思います。そのためには相続税の試算をしてみることです。当法人では、専門のスタッフにじっくりと相談できる体制を整えておりますので、まずはこちらを利用されることをおすすめします。心配する必要がないのに過度に心配してしまっている、あるいは、こうしておけばもっと節税できたのにと、後で後悔しないためにもぜひご活用ください。
相続でおさえておくべきポイントは?
節税対策としては、①生前贈与で財産自体を減らす②財産をより評価額の下がるものに変える③法定相続人の数を増やす、の3つです。これとは別に、④納税資金の準備⑤争族にならないための準備、以上の5つのポイントをおさえて下さい。
①の生前贈与について注意すべき点は?
生前に配偶者や子ども、孫などに贈与することで、相続財産を減らすことができますが、これは節税対策とともに、生前にその方の意思を明確にできるという利点があります。暦年贈与といって毎年110万円迄は無税で贈与できる制度を利用される方が多いですが、これも長年および多くの親族に贈与していくと相当な金額になり、効果的なものです。一度にまとまった金額をという方は他に幾つかの特例制度が準備されていますし、また相続時精算課税制度も使い方によっては良い制度です。是非一度ご相談頂くと良いと思います。
名義預金というのをよく聞きますが、どういうことですか?
贈与で一番問題になるのは、「単に親族の名義を借りた預金なのでは?」ということです。贈与はあく迄契約ですので、双方の合意がなければなりません。例えば、Aさんが子どもの名義の口座を作り、毎年100万円ずつ入金していたとします。10年経ち、1000万円の残高になった時、Aさんが亡くなりました。Aさんは子どもの驚く顔が見たくて内緒にしていました。この時、この1000万円は贈与されたものではなく、名義預金とされ、Aさんの財産とみなされる可能性があります。名義預金には時効もないのです。また、専業主婦の奥様が毎月ご主人からもらっている生活費を切り詰めて、ある程度の預金残高ができたとします。これはどのように扱われるのでしょうか。微妙な話ですが、皆さんはどうお考えになりますか。
節税対策として、自分の土地にアパート建築をすすめられているのですが?
確かに節税効果があることは否定しません。問題はその土地がアパートを建築するに適した土地か否かです。今の若い世代は選択基準として「駅近」を重視します。特に、30年以上の借入期間で収支がバランスする様な計画は注意が必要です。新築時は満室になったとしても、時の経過とともに空き部屋が生じ、また修繕等の維持費も増加してきますと借入金の返済に窮してきます。「節税破産」という言葉があることを肝に銘じて下さい。
今後の不動産市場はどうなっていくのでしょうか?
二極化がどんどん進むでしょう。都心の一部エリアの収益不動産は、ここ数年大人気です。完全に品薄状態が続いています。もうしばらくは高値圏で推移する可能性はありますが、この時点での収益不動産の購入は慎重にされることをおすすめします。一方、地方の郊外の土地は、どうでしょうか。「土地余り」「家余り」が顕著です。この理由は、①人口減少による住宅需要の減少、②に2025年には、団塊世代が75歳を超え、相続の発生件数が増えるとともに、地主さんなどが納税資金確保のために土地を手放し、戸建分譲地が増加します。③2022年には生産緑地の指定日から30年経過し、多くの土地が供給されてきます。このことから「土地余り」がおきてくるのです。
土地持ち資産家は今後どのようにすればよいのですか?
①借入金に頼らず、財産の課税評価額を圧縮する方法はないか②収入アップを果たしていく方法はないか③資産保有の法人を活用していくにはどうするのか、この3点を検討されてはいかがでしょうか。お手持ちの不動産を有効活用するためには、収益性の高い不動産への組み替えが重要となります。一方で、不動産を有効活用することによってご本人の収入が増えてしまうとまた大きな税金が発生します。さらに、貯まったお金に相続税がかかってしまいますので、ここで重要なのが法人活用です。不動産の活用、組み替えを行って収入を上げ、法人を徹底的に活用することが、成功する相続対策のセオリーです。このトータルの対策は、能力のある公平な第三者のプロにアドバイスをして頂くことが重要だと考えます。私共も、そんな存在でありたいと思っています。
納税資金対策として、生命保険の利用をすすめられていますが?
生命保険金は納税原資として有効ですし、法定相続人1人あたり500万円迄は非課税となっていますので、この非課税枠は最大限活用して下さい。また、この生命保険金は、代償分割をしたい時の原資となることもあわせて認識しておいて下さい。
生命保険金は、本来の相続財産ではないと聞いていますが?
生命保険金は、受取人の固有の財産と考えられ、本来の相続財産ではありませんが、相続税法上みなし相続財産とされています。生命保険金は受取人を指定できることから、他の相続人は、これに対して何も主張できませんし遺留分の請求もできません。このことから生命保険金は、生前に遺産分割を確定させる効果があるといえます。但し、極端にこれを行うと問題が生じますので、何事も程々にです。
争族にならないために民事信託という制度を最近耳にしますが?
核家族化に伴う価値観の変化や情報化社会による権利意識の高まりによって、相続発生後の遺産分けにおける紛争は、年々増加しています。また、今後4人に1人が65歳以上の高齢者となり認知症患者も増えると予測されます。その時、ご自身の財産をどう管理し、後世に引き継ぐかが重要な課題です。この対策としては、遺言制度や成年後見制度があります。しかし、これだけでは解決できない課題もたくさんあります。①ご自身が認知症になった後も、相続税対策をしたい、②配偶者が認知症なので、自分の相続の時に遺産分割協議に参加できない、③2次相続以降の財産の遺し方まで考えておきたい、④親族に障害者がおり、長期的に生活を支援したい等々。このような課題をお持ちの方に民事信託をおすすめします。無料相談をご利用頂き、参考にして頂ければと思います。