2023.04.28更新

Q:家族信託(民事信託)の信託財産は遺産分割協議の対象にならないのですか

 

A:家族信託(民事信託)とは、信託契約の一種で、一般的には「委託者」「受益者」となるケースが多く、「受託者」が信託財産を管理・処分等を行います。信託法上では、「委託者」が信託財産とした財産の所有権は「受託者」に移ります。しかし、課税法上は、その財産は受益権という権利に変って、原則として「受益者」のものとみなされます。

 

お尋ねの場合は、上記のとおり家族信託において信託財産は「委託者」の財産ではなくなり、原則、「受益者」のものとみなされますので、信託契約をした後に「委託者」が死亡した場合は、遺産分割協議の対象財産とはなりません(受益者がいない信託を除く)。ただし、この受益権を相続により移転する場合は、所有権を相続により取得する場合と全く同様に相続税が課税されます。

 

また、信託財産以外の委託者の財産についても相続手続きが行われることとなりますが、ここで、注意しなければならないことがあります。それは、「委託者」としての地位も相続の対象となってしまうことです。

 

つまり、「委託者」の相続人が「委託者」の権利を引き継ぐこととなるのです。このことは、「委託者」の権利を相続人の誰が引き継ぐかという争いのもととなりかねません。この問題を解決するためには、信託契約の条項に「委託者」の死亡により「委託者」の権利が消滅することを特約として加えることになります。

2023.04.06更新

Q:教育資金の一括贈与制度の改正について教えてください

 

A:教育資金の一括贈与制度は、平成25年に創設されてから適用期間の延長が繰り返されて、令和5年3月31日までの期日となっていました。今回の税制改正大綱により更に3年間の延長が決まり、令和8年3月31日までの延長となりました。

 

この制度の内容は、贈与者が30歳未満の子や孫の直系卑属に対して、教育資金として1,500万円までの一括贈与をした場合は、贈与税を非課税とするものです。

また、現行制度では贈与した人が死亡した際に教育資金として使いきれなかった残額があった場合は、その残額を相続財産に加算するとしていますが、受贈者が次の3つの要件を満たせば加算の対象外となっています。

 

・23歳未満の場合
・学校等に在学している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

 

しかし、今回の改正では、要件が厳格化されて贈与者の相続税の課税価格が5億円を超えるような富裕層であった場合は、たとえ上記の3つの要件を満たしていても、残額が相続財産に加算される持ち戻しの対象としています。

 

また、贈与者が存命中に受贈者が30歳に達して、一括贈与資金に残額があり贈与税が課される場合は、改正前は特例税率(家族向けの低い税率)が適用されましたが、改正後は一般税率(特例税率より高い税率)が適用されるようになります。

 

なお、この制度は、令和5年4月1日以降に利用した贈与から適用となります。

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