2022.08.30更新

Q:分割協議がまとまらず納税資金の手当てができません

相続人全員の話し合いがまとまらず、未分割のままで申告することとなりました。相続財産が多いので、納税額が相当な金額になりそうです。ただし、相続財産の金融機関の預金口座が凍結されているため、納税資金がない状態です。

 

A:金融機関(銀行等)は、相続開始の情報を得た場合に、故人名義の口座(預貯金等)を凍結して、入出金ができないようにしてしまいます。金融機関が口座を凍結する理由は、故人の預貯金が「遺産」の対象となるからです。

 

特に預貯金は銀行のATM機で親族が故人のキャッシュカードを持参して暗証番号さえ入力すれば、本人確認なしで預金者本人でなくても容易に引き出すことができます。そのため、親族が勝手に預金の引き出しを行い自分のものとした場合、後日、他の相続人とのトラブルとなることも想定されます。

 

銀行としては、安易に故人の預貯金が引き出されてしまうと、他の相続人から抗議を受けることがあり、相続争いに巻き込まれないために故人の口座を凍結することになります。

 

しかし、故人の口座が凍結されると相続開始後の葬儀費用の支払いや相続税の納付に必要な場合に、その資金に困るといったケースがあります。そのため、2019年7月1日の民法改正で各々の相続人が金融機関ごとに150万円を上限として、預貯金残高の3分の1までの範疇で仮払いを請求する制度が施行されました。これにより、仮に、金融機関3ヶ所の利用で預貯金残高が充足していれば最高450万円まで引き出せることとなります。

 

これでも当面の資金が足りない場合は、各金融機関の相続手続きの案内に従って故人の預貯金の解約や名義変更を進めることとなります。

2022.08.23更新

Q:相続税の障害者控除について教えてください

 

A:相続税の障害者控除とは、相続人の中に85歳未満の障害者がいる場合に相続税の額から一定の金額を差し引くことができる制度です。中には、障害者控除の対象となった相続人が納めるべき相続税がゼロになることもあります。

この点では、相続税の基礎控除は相続財産の評価額から控除されますが、障害者控除は税額から控除されますので、相続税の軽減効果としては大変大きいものとなります。

 

◎ 障害者控除が受けられるのは次の全てに該当する人です。


(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または、非居住被相続人である場合を除きます)


(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人


(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること

 

◎ 障害者控除額の計算方法は次のとおりです。


障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。

なお、この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。

 

 また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引くことができます。

(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

なお、その障害者が今回の相続以前においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。                  (出所:国税庁HP)

 

具体的な障害者控除額の計算式は以下のとおりです。


① 一般障害者の場合 (85歳-相続開始時点の年齢)×10万円


② 特別障害者の場合 (85歳-相続開始時点の年齢)×20万円

2022.08.15更新

Q生涯独身だった妹が亡くなり、相続人が私(弟)と妹2人の場合に、相続手続きに必要な戸籍書類を私が兄妹の分を請求することはできますか。

 

Aあなたは民法上亡くなった方の法定相続人として財産を相続する権利があります。ですから、相続手続きに必要な戸籍書類はあなたでも請求することが可能です。

ただし、請求するためには、戸籍書類が必要であることの正当な理由を明確にする必要があります。

このことは、戸籍書類を請求できる者について、以下のように定められています。(戸籍法第10条・第10条の2)

 

1.戸籍に記載されている本人又はその配偶者、その直系尊属(父母、祖父母等)若しくは直系卑属(子、孫等)
2.自己の権利の行使又は義務の履行のために必要な方
3.国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
4.その他の戸籍に記載された事項を利用する正当な理由がある方

 

なお、通常、傍系親族(兄弟姉妹、叔父、叔母、甥、姪など)の戸籍書類は請求できないのですが、次の全ての要件を満たしている場合には、例外的に請求が認められます。


①相続手続きのために必要であって「自己の権利行使又は義務の履行のために必要な方」に該当すること
②相続人であることがわかる戸籍書類や本人確認書類を提示すること
③戸籍書類が必要な理由や使用目的を明確にすること

 

このように、兄弟姉妹が相続人となるときは、集める戸籍書類も多くなり大変な手間がかかるケースもあります。ご自身で戸籍書類を請求することが難しい場合は、弁護士等(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士)の専門家が代わって交付請求してくれますので、お早めに専門家にご相談されることをおすすめします。

2022.08.04更新

Q:相続税の土地の評価で「利用価値が著しく低下している宅地」とは何ですか。

 

A: 利用価値が著しく低下している宅地とは、付近にある他の宅地の利用状況と比較して、著しく利用価値が低下していると認められる部分のある宅地をいいます。

 

そして、その宅地の著しく利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額(以下、「10%評価減」といいます。)によって評価します。

 

国税庁では課税実務上、利用価値の著しい低下が生じる例を次のとおり示しています。

 

①道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの


②地盤に甚だしい凹凸のある宅地


③震動の甚だしい宅地


④上記①~③までの宅地以外で、騒音、日照障害(建築基準法第56条の2に定める日照時間を超える時間の日照障害のあるもの)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの

 

ただし、上記①~④の例について、既に、路線価が利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には、10%評価減は斟酌されませんので注意が必要です。

 

また、過去の裁決事例では、例えば、新幹線の高架線の敷地に隣接し、かつ、元墓地である土地の評価で、震動及び騒音の他、忌み、日照及び眺望への各影響を考慮して合計30%の評価減が認められたケースも存在します。

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