2024.07.22更新

Q:相続した土地の一部が都市計画道路にかかっています。どのように評価したらよいでしょうか

 

A:都市計画法に基づき整備することが決定した道路のことを「都市計画道路予定地」といいます。この場合、都市計画法では道路の名称や建設する位置・区域、種別や車線の数などを定めることとされています。

 

「都市計画道路予定地」に、個人の私有地を含むエリアが存在すると都市計画法によって建築制限がかけられ、その後は、都道府県等の許可を受けなければ、自由に建物を建てることはできなくなります。

 

なお、この場合の建築制限とは主に次のとおりです。(都市計画法53条~57条)
① 階数が2以下で地階を有しないこと
② 主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)が木造や鉄骨造、コンクリート造などであること
③ 建物は容易に移転、除去できるものであること

 

ご質問のように相続した土地が「都市計画道路予定地」として建築制限がかかっている宅地の場合、宅地としての利用価値が下がります。このような土地の場合、財産評価通達24-7において、通常の宅地の評価額に「地区区分」、「容積率」、「地積割合」の別に応じて定める補正率を乗じて減額することができる規定が適用されると思われます。

 

なお、具体的な補正率は、上記の区分別に最高0.50~最低0.99まで24段階ありますので、財産評価通達24-7に規定する補正率表をご確認ください。

 

このように都市計画道路予定地内の土地は、評価対象地の地域性や画地条件の他、法的な建築制限などにより、減額率が大きく変わるものです。したがって、まずは、役所に出向いて地積割合などを確認し、場合によっては正確な測量を行う必要があることを覚えておきましょう。

2024.06.18更新

Q:相続により賃貸用不動産を取得しました。そのため不動産所得の確定申告を行うこととなりました。必要経費となる賃貸借不動産の減価償却費の計算はどのようにすれば良いでしょうか。

 

A:減価償却とは、資産を買ったときに経費にするのではなく、資産の使用可能な期間にわたって、一部ずつ経費にしていく会計処理の方法のことです。

その方法は、大きく、定額法・定率法・旧定額法・旧定率法の4つがあります。

 

ご質問の場合、相続人は、取得価額の根拠となる被相続人の取得時期や取得価額・未償却残高・経過年数をそのまま引き継ぎます。この場合の取得時期とは被相続人が不動産を取得した年月日で相続人が相続した日ではありませんので注意が必要です。

 

なお、相続した不動産の減価償却方法(定額法、定率法など)については、被相続人の減価償却方法をそのまま引き継ぐことはできず、原則として、相続人ご自身で選定された償却方法により行います。

 

所得税法上、納税者がその年12月31日において所有する減価償却資産につき、その償却費としてその人の不動産所得の金額、事業所得の金額等の計算上必要経費に算入する金額は、その人がその試算について選定した償却方法により計算した金額とすると定められています。また、減価償却費の計算方法(定額法、定率法など)は、その取得した日及びその種類の区分に応じ変わりますので注意が必要です。

 

このように減価償却費は、節税効果は大きいですが、そのルールが複雑と感じられるかもしれません。お困りでしたら、税理士に相談されることをお勧めいたします。

2024.05.17更新

Q:特別受益について教えてください

 

A: 特別受益とは、一言でいうと相続分の前渡しといえる生前贈与のことで、故人から「生前贈与」や「遺贈」、「死因贈与」で受け取った利益を指します。

この制度は、相続財産の分割の際に公平に財産を分けることを目的として存在しています。このような利益を受けた共同相続人を「特別受益者」といい、その利益を「特別受益」といいます。

 

「特別受益」とみなされる主なものは、次のとおりです。


◇婚姻時に受け取った持参金
◇住宅取得資金
◇扶養義務の範囲を超えた多額の援助
◇独立のための事業資金等
◇高額な高等教育の学費

なお、生命保険、相続人以外への贈与、おしどり贈与、死亡退職金などは「特別受益」に含まれません。

 

具体的に相続分を算出する場合は、「特別受益者」の利益分は相続分の前渡しとみなして算出します。

しかし、他の共同相続人の合意がある場合、また、被相続人が遺言書で持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合は持ち戻さなくてもよいとされています。

 

また、次のとおり近年において特別受益に係る法改正がされていますので、注意が必要です。

 

▽2019年7月1日の法改正により、遺留分を算定するための財産においては、相続開始前10年以内に行われた相続人への贈与と、相続開始前1年以内に行われた相続人以外への贈与の価額が持ち戻して計算されるようになりました。
▽2023年4月1日の法改正により、特別受益を主張できる期間が相続開始から10年となりました。

2024.05.13更新

Q:今年、祖父から相続時精算課税の基礎控除を利用して110万円の贈与を受けました。その後、実父から暦年課税を利用して110万円を贈与され合計220万円取得しました。

 

相続時精算課税制度を一度でも利用すると、暦年贈与は利用できないと聞きましたが、この場合は贈与税はかかりますか。

 

 

A:お尋ねの場合は、贈与税はかかりません。何故なら、相続時精算課税制度は贈与者ごとに制度利用ができるからです。

 

したがって、実父からの贈与は贈与者単位の原則から暦年課税の贈与税の基礎控除を適用できることとなります。

 

ただし、相続時精算課税制度では、贈与した祖父を「特定贈与者」といいますが、こうなりますと、今後、祖父からの贈与では暦年贈与は利用できないこととなりますので注意が必要です。

 

今回の法改正で、7年後の相続時において、相続人に対する暦年贈与は持ち戻しによって、相続財産に加算されることになりました。これを受けて、贈与する人が高齢の場合は、相続時精算課税制度の基礎控除を活用する方が有効な選択といえるでしょう。

このように暦年贈与か相続時精算課税制度の活用かは、贈与する人、贈与される人の置かれた環境などによって有利不利が発生しますので、専門家に事前に相談されることをお勧めします。

2024.04.24更新

Q:祖父と父から省エネ等の住宅(高断熱・高気密に造られ、エネルギー消費量を抑える設備を備えた住宅)を取得するための資金の贈与を受けました。
祖父から700万円、父から700万円贈与を受けましたが、贈与税はかかりますか?

 

A:住宅取得資金贈与の特例制度は、もともと適用期限を令和5年12月31日までと定めていましたが、令和5年の税制改正大綱によりこの期限が3年延長されて、令和8年12月31日まで適用が延長されました。

なお、非課税限度額には変更がありませんでした。省エネ等の住宅用家屋の非課税限度額は1,000万円、それ以外の住宅用の家屋の非課税限度額は500万円となります。

 

ただし、省エネ等住宅用家屋の適用要件が次のとおり変更されています。


〇変更前:省エネ性能「断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であること」であること
〇変更後:省エネ性能「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」であること

上記の変更は、令和6年1月1日以降に取得する住宅取得等資金に係る贈与から適用となりますので注意を要します

 

お尋ねのケースでは、祖父からの700万円、父からの700万円の合計額1,400万円のうち1,000万円が非課税となります。

これは、住宅資金非課税限度額が受贈者ごとの限度額となるためです。

なお、残額については、要件に該当すれば、相続時精算課税の特例が適用を受けることができます。

2024.02.22更新

Q:個人年金を受給中に相続が開始した場合の税務上の取り扱いについて教えてください

 

A:近年、公的年金に加えて個人年金に加入する人が増加しています。個人年金を受け取っていた人が死亡して、遺族が年金を受け取る権利(年金受給権)を取得した場合は、相続税などの課税対象となる場合があります。また、年金受給権を取得後にその年金の受け取り方によって、所得税の課税関係なども発生します。

 

ご質問の年金受給中の個人年金は、年金受給権が発生後の相続開始であることから、その権利はみなし相続財産として相続税の対象となります。つまり、年金受給権の残存期間を相続人が引き継いで年金を受け取る場合は、被相続人がそれまでに負担した保険料の割合分がみなし相続財産となって相続税の対象となります。

 

なお、年金受給権は死亡保険金ではないので、死亡保険に係る一人500万円の非課税枠は適用されませんので注意が必要です。

 

また、相続等により年金受給権を取得した人が、実際に金銭を受け取る場合は、年金方式か一時金方式のいずれかを選択する場合が一般的です。年金方式を選択した場合は、雑所得として所得税の課税対象となり(相続税の課税対象となった部分を除く)、一時金方式を選択した場合は、相続等で年金受給権を取得した人には所得税は課税されません。

 

このように、相続財産の中に年金受給権がある場合は、相続税などの税金以外にも検討すべきことが多いことから、生前から専門家に相談しておくことも必要なのかもしれません。

2024.02.15更新

Q:特定路線価について教えてください

 

A: 路線価とは、相続税や贈与税の申告における土地の相続税評価額の算定の基になる価格のことをいいます。通常、市街地の道路には路線価が設定されていますが、中には路線価がない道路もあります。路線価の設定されていない道路に接している土地等を評価する必要があるときには、路線価(特定路線価)の設定の申出をすることができます。(財産評価基本通達14-3)

 

上記のとおり、路線価がついていない場合に特定路線価の申し出ができ、その申出に基づき税務署長が評定しますが、次の要件を全て満たしていることが条件となります。
① 特定路線価の設定を必要とする年分の路線価が公開されていること
② 相続税又は贈与税の申告のための申請であること
③ 評価する土地が路線価地域にあること
④ 評価する土地は路線価がない道路の身に接していること
⑤ 対象の道路は評価する土地の専用通路ではないこと
⑥ 対象の道路は建築基準法上の道路等であること

 

なお、上記に従って税務署長より特定路線価が設定された場合は、基本的に設定された特定路線価で評価することとなり、その他の評価方法での評価ができないこととなりますので注意が必要です。

 

また、特定路線価による評価方法を選択せずに、前面の路線価で土地を評価する方法や旗竿地評価をすることで、評価額が下がり相続税を低く抑えることが可能な場合も生じます。
このように、評価方法でお悩みの場合は、相続税に詳しい税理士に事前にご相談されることをお勧めいたします。

2024.01.22更新

Q:複数の不動産を兄弟で相続することとなりました。不動産を共有した場合の問題点を教えてください。

 

A:遺産分割としては、法定相続分で分ける方法と遺産分割協議に沿って分ける方法があります。

不動産は預金の様にキッチリ分割ができませんので、どの不動産は誰が相続するか協議して決めていく遺産分割協議による相続が主となります。その際に、なるべく相続人間で揉めたくないということで不動産を共有することも多くあります。

しかし、不動産の共有名義には単独名義にはないデメリットがあります。現状では問題がなくても、将来的に各共有者の状況が変わったり、相続が発生したりで、問題が表面化するかもしれません。共有者が親族であっても訴訟問題に発展するケースがあるため、共有名義は基本的に避けることをおすすめします。

 

不動産を共有した場合のデメリットは次の5点があげられ、主に権利関係の複雑化が問題となります。

 

① 不動産の処分に共有者全員の同意が必要
② 不動産の使用や管理に共有者の話し合いが必要
③ 離婚時の財産分与が複雑になる
④ 相続によって共有者が増えていく
⑤ 持分割合と出資割合を揃えないと贈与税が発生する。

 

このように不動産を複数人で共有するために、使用・管理・処分においてトラブルが起こりやすくなるのです。また、共有者間の関係が疎遠になったり、次世代へ相続されたりしていくと問題解決が更に難しくなります。

2024.01.15更新

Q:不動産の登記が簡略化されたと伺いましたが、内容を教えてください。

 

A:令和5年4月1日から不動産登記法が改正されました。簡易な不動産の登記手続きが可能になったものの代表的なものは以下のとおりです。

 

〇相続人に対する遺贈による所有権移転登記(改正不動産登記法第63条第3項)
旧法では相続人への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは、遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要とされていました。これが、その不動産の遺贈を受けた相続人のみで手続きが可能となりました。但し、相続人以外への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要です。

 

〇買戻し特約に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第69条の2)
旧法では不動産所有者と買戻権者が共同して手続きをすることが条件とされていた買戻特約登記の抹消登記申請手続きが、買戻特約付き売買契約日から10年を経過している買戻特約登記の抹消については、不動産所有者が単独で登記申請することが可能となりました。

 

〇すでに実質的に存在していない法人の担保権に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第70条の2)
次の4つの条件を満たした場合、解散した法人の担保抹消登記申請を不動産所有者が単独ですることが可能となります。
① 抹消の登記義務者にあたる法人が解散していること
② その法人の解散の日から30年を経過していること
③ 「相当な調査」が行われたものの「清算人の所在が判明しない」ため、抹消登記が申請できないこと
④ 被担保債権の弁済期限から30年を経過していること

 

上記をはじめ、その他にも不動産登記手続きについての改正があります。詳しくは司法書士等の専門家にご相談されることをお勧め致します。

2023.11.09更新

Q:相続税申告における「家屋の相続税評価」についてお尋ねします。

 

A:家屋は、その利用状況等によって相続税評価に違いがあります。次のとおり、代表的なパターンでお答えいたします。


① 被相続人が利用していた場合
固定資産税評価額×1.0


② 第三者に賃貸していた場合
固定資産税評価額×0.7


③ 建築中の家屋の場合
費用原価の額×0.7

(費用原価とは相続開始時までに投下された建築費用をいいます。)

 

なお、固定資産税評価額は「固定資産税評価証明書」から確認します。また、建築中に相続が発生した場合は、請負契約書や領収書などから投下された費用を算出します。


また、上記以外のパターンの場合は、専門家にお尋ねすることをおすすめします。

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