2023.05.30更新

Q:父が亡くなり、父名義の実家を相続することになりました。

私は、現在、持ち家に住んでおり、実家に住む予定もないので売却するつもりです。この場合、実家の「相続登記」をせずに売却できますか?

 

A:相続した実家は、そのままでは売却できません。売却するためには「相続登記」が必要となります。

 

なぜなら、不動産に関する権利は、権利変動を正確に記録しなければならないとされており、民法177条によって登記をしなければ第三者に対して主張できないことになっています。

したがって、ご質問の場合は、相続した実家はあなたが所有者であることを買主に主張する必要があるために登記名義変更(「相続登記」)を行う必要があるのです。

 

なお、「相続登記」の申請手続きは自分でもできますが、専門の司法書士に依頼することもできます。

 

また、相続した不動産については、相続税だけではなく「相続登記」をしたときの登録免許税不動産を保有している間の固定資産税不動産を売却したときの所得税など、それぞれに種々の税金が絡んできますので、税金のことは税理士にお尋ねになることをお勧めします。

2023.05.09更新

Q:土地の「地番」と「住居表示」の違いについて教えてください。

 

A;土地の「地番」とは、その土地の場所を示したもので法務局が定めています。

 

一方、「住居表示」とは、住居表示法という法律に則り、建物の場所を市町村が定めているもので、前記の「地番」とは全く別の番号となっています。

 

ただし、「住居表示」は全ての市町村で実施されているものではありませんので、実施されているかどうかは各役所のホームページなどを確認する必要があります。

 

また、現代においてはインターネットで地図検索ができますが、検索される対象は「住居表示」であるため、土地だけであるような場合や「地番」を基にネット検索をしても不動産の場所が特定できないことになります。

 

このような場合には、法務局に備え付けられている公図を取得して場所を特定することとなります。

2023.04.28更新

Q:家族信託(民事信託)の信託財産は遺産分割協議の対象にならないのですか

 

A:家族信託(民事信託)とは、信託契約の一種で、一般的には「委託者」「受益者」となるケースが多く、「受託者」が信託財産を管理・処分等を行います。信託法上では、「委託者」が信託財産とした財産の所有権は「受託者」に移ります。しかし、課税法上は、その財産は受益権という権利に変って、原則として「受益者」のものとみなされます。

 

お尋ねの場合は、上記のとおり家族信託において信託財産は「委託者」の財産ではなくなり、原則、「受益者」のものとみなされますので、信託契約をした後に「委託者」が死亡した場合は、遺産分割協議の対象財産とはなりません(受益者がいない信託を除く)。ただし、この受益権を相続により移転する場合は、所有権を相続により取得する場合と全く同様に相続税が課税されます。

 

また、信託財産以外の委託者の財産についても相続手続きが行われることとなりますが、ここで、注意しなければならないことがあります。それは、「委託者」としての地位も相続の対象となってしまうことです。

 

つまり、「委託者」の相続人が「委託者」の権利を引き継ぐこととなるのです。このことは、「委託者」の権利を相続人の誰が引き継ぐかという争いのもととなりかねません。この問題を解決するためには、信託契約の条項に「委託者」の死亡により「委託者」の権利が消滅することを特約として加えることになります。

2023.04.06更新

Q:教育資金の一括贈与制度の改正について教えてください

 

A:教育資金の一括贈与制度は、平成25年に創設されてから適用期間の延長が繰り返されて、令和5年3月31日までの期日となっていました。今回の税制改正大綱により更に3年間の延長が決まり、令和8年3月31日までの延長となりました。

 

この制度の内容は、贈与者が30歳未満の子や孫の直系卑属に対して、教育資金として1,500万円までの一括贈与をした場合は、贈与税を非課税とするものです。

また、現行制度では贈与した人が死亡した際に教育資金として使いきれなかった残額があった場合は、その残額を相続財産に加算するとしていますが、受贈者が次の3つの要件を満たせば加算の対象外となっています。

 

・23歳未満の場合
・学校等に在学している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

 

しかし、今回の改正では、要件が厳格化されて贈与者の相続税の課税価格が5億円を超えるような富裕層であった場合は、たとえ上記の3つの要件を満たしていても、残額が相続財産に加算される持ち戻しの対象としています。

 

また、贈与者が存命中に受贈者が30歳に達して、一括贈与資金に残額があり贈与税が課される場合は、改正前は特例税率(家族向けの低い税率)が適用されましたが、改正後は一般税率(特例税率より高い税率)が適用されるようになります。

 

なお、この制度は、令和5年4月1日以降に利用した贈与から適用となります。

2023.03.24更新

Q:賃貸アパート・賃貸マンションの相続税評価について教えて下さい

 

A:アパートや賃貸マンションを建てた場合は、民法上、借家人には借家権という権利が生じます。それを踏まえて相続税ではその借家の敷地評価にあたり、「貸家建付地」として、更地より減額します。


その計算は次の通りとなります。

 

貸家建付地の評価額=更地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)

 

なお、借家権割合は一律30%とされており、例えば借地権割合が60%の住宅地のケースでは、貸家建付地の評価額が更地評価額の82%となります。
また、建物についても貸家であれば、自用の場合の評価額より借家権割合の30%が減額されます。

 

ただし、相続発生時に空室がある場合は、賃貸割合という考え方を基本にその部分について貸家建付地の評価減額が認められません。
しかし、相続発生時に一時的に空室の状態であっても、下記の点に該当すれば総合的に判断して全体を貸家建付地として評価する方向性が示されています。

 

1. 各部位・部分が課税時期(死亡時)前から継続的に賃貸されてきたものであること
2. 賃貸人の退去後、速やかに新たな賃貸人の募集が行われたものであること
3. 空室の期間が短期間で、その間に他の用途に供されていないこと
4. 空室の期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度であるかなど、一時的な期間ではないこと
5. 課税時期後の賃貸が一時的なものでないこと

 

このように、相続発生時に空室であっても継続して賃貸の意思があり、実際にも賃貸募集活動を行っていれば「貸家建付地」として認められる可能性が大きいということになります。

2023.02.20更新

Q:「小規模宅地等の特例」を適用して、一人暮らしの父親から自宅を相続しました。
空き家にしておいて、いずれ売却したいと考えています。売却時に「空き家に係る譲渡所得の特別控除」の特例は受けられますか?

 

A:要件次第で適用を受けられます。


ご質問のケースは、持ち家のない相続人(いわゆる、「家なき子」)が父親から自宅を相続して「小規模宅地等の特例」を適用したもの考えられます。

この場合、「小規模宅地等の特例」を受けたうえで、更に相続した自宅を売却した場合に「空き家に係る譲渡所得の特別控除」を受けられるかどうかが疑問になられていると思われます。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除」には、「小規模宅地等の特例」を受けた場合の除外規定はありません。

 

したがいまして、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」に係る次の要件さえ満たしていれば適用が可能となります。

 

①相続開始直前において被相続人が一人で住んでいたこと
②その家屋(マンション棟の区分所有建物等を除く)が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
③相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用、(無償貸付も含む)、又は居住の用に供されていないこと
④令和5年12月31日までに売却すること
⑤売却金額が1億円以下であること
⑥相続の時から3年後の年の12月31日までに譲渡すること
⑦家屋を取り壊さず売却するときは、その家屋が新耐震基準に適合するものであること

 

2023.01.18更新

Q:財産分けの際の不動産の評価はどの評価額を用いますか?

 

A:価額の基準としては、固定資産税評価額相続税評価額不動産仲介業者による査定額不動産鑑定評価額、など様々な価格の評価基準があります。

それがゆえに相続人間で意見が割れてしまうことが非常に多いのです。原因は、不動産を相続しない相続人からすると不動産の評価は高い方が良く、不動産を相続する相続人からすれば、不動産評価は低い方が良いからです。

 

例えば、2人で対等な割合で相続財産を相続する方針となった場合、不動産を相続しない相続人は不動産評価が高くなればなるほど、自身が相続する他の財産が増加します。逆に不動産を相続する相続人は不動産評価が低くなるほど、自身が相続する他の財産が増加します。

 

もちろん、遺産分割の際に基本的に相続人の全員が合意すれば、どの様な評価基準を基にしても差支えはありませんし、分割の内容や取得割合を自由に定めることができます。しかし、相続人間で考え方が違う場合には、上記のとおり評価の方法で紛争になるケースが少なくありません。

 

不動産評価は相続する財産の価額に大きな影響を与えることから、不動産の評価方法で話し合いがもつれると紛争が長期化し、相続人間の気持ちにわだかまりを残すことになってしまいます。これを回避するには、被相続人が生きているうちから相続人間の意思確認を図り、ある程度、対策をしておく必要があります。

2022.12.16更新

Q:家庭の事情により協議離婚することとなりました。現在、居住している自宅の取扱いについての質問です。自宅については、妻に財産分与することになりました。その場合の課税関係について教えて下さい。

 

 

A:お尋ねの自宅の財産分与は、民法768条の規定により妻から「財産分与請求権」の主張があったことにより資産の移転をする行為となります。この場合、税務上においては、所得税基本通達33-1の4の規定により、その分与をした時において、その時の価額によりその資産を譲渡したものと取り扱われます。

 

したがって、その分与時の時価で譲渡したものとして譲渡所得の計算を行うこととなります。譲渡所得の計算においては、通常、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除及び軽減税率の特例は、配偶者等の親族への譲渡については特例の適用は受けることができないことになっています。

 

しかし、財産分与による資産の譲渡の場合は、離婚後における譲渡になるため、配偶者の親族への譲渡には該当しないことになり、居住用財産の特例の適用を受けることが可能となります。

 

 

一方、財産分与を受けた配偶者(妻)については、税務上、財産分与請求権(民法768条)に基づく財産の取得であるので贈与により取得した財産には当たらないと解されています。したがって、原則として、財産分与を受けた者に贈与税は課せられないことになります。

 

ただし、その分与については、財産が婚姻中の夫婦の協力によって形成された財産と比較して過大と認められる場合には、その過大な部分に対して経済的利益の贈与があったものとして取り扱われることなりますので注意が必要です。

2022.12.01更新

Q:相続した不動産に「公衆用道路」の土地がありました。「公道」と「私道」の違いを教えてください。

 

A:「公衆用道路」は「公」という字がついているので「公道」と勘違いしやすいですが、必ずしも公共のものとは限りません。法的には不動産登記規則で定義される23種類の地目の内の一つで、所謂、公道・私道の区別で使われるものではありません。

 

例えば、個人の所有である「私道」であっても「公衆用道路」として登記されている道路も多いようです。

 

したがって、まずはその土地の所在を確認し、接する土地と一体となった「私道」なのか、それとも私道のみなのかなどを調べる必要があります。

 

一般的に公道と私道の違いは以下のようになります。


「公道」とは基本的に国や地方公共団体が所有している道路であり、その維持管理などは国や地方公共団体が行います。
「私道」とは単独所有の他に、共有のケースもありますが、その維持管理などは私道の所有者が行い、そのための費用などは所有者の負担となります。

 

特に、私道を共有している場合において、例えば、維持管理を行うための工事などを行う際には、共有者の同意が必要で工事などが簡単にできないこともあるので注意が必要です。
なお、公道でも私道でも「建築基準法上の道路」に該当すれば、その道路に面した土地に建物を新築することができます。

2022.11.04更新

Q:不動産取得税や登録免許税は、相続で不動産を取得した場合でもかかりますか?

 

A:不動産取得税は、不動産を取得した人に貸される地方税(道府県税)です。また、登録免許税は不動産の登記をする際に課税される国税です。通常、不動産の取得や登記をした場合には、これらの税金がかかることとなります。

 

しかし、不動産取得税については、①「相続」や②「包括遺贈」(民法964条)、③「被相続人から相続人に対してされた遺贈」により取得した場合に限っては、かからないこととなっています

 

一方、登録免許税は、不動産の登記に対して課される税金であるため、相続で不動産を取得した場合でも登記されている名義人を変える登記(通称「相続登記」といいます)を行うと、その際に登録免許税を納めることとなります。

 

しかし、相続登記に係る登録免許税については、平成30年度及び令和4年度の税制改正により、次のような免税措置が設けられています。

 

(改正内容)


個人が不動産を相続により取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

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