Q:遺贈の場合、受遺者は「遺贈の放棄」をすることはできますか
2023.07.27更新
Q:遺贈の場合、受遺者は「遺贈の放棄」をすることはできますか?
A:遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2つの種類があります。包括遺贈とは、遺産に対する割合を示して遺贈を行うことです。例えば、「相続太郎には、遺産の5分の1を遺贈する」という形で遺贈を行います。また、特定遺贈とは、特定の財産を示して遺贈を行うことをいいます。例えば、「相続二郎には、A不動産やB預金を遺贈する」という形で遺贈を行います。
この2つの遺贈の種類によって「遺贈の放棄」の方法が異なりますので注意が必要です。そもそも贈与とは贈与者と受贈者との合意による契約ですが、遺贈は、遺言した人の一方的な意思表示です。そのため、受遺者が期待しない財産を貰ってしまうことがあります。また、相続人には遺留分という最低限に認められている権利があり、遺贈の仕方によっては、この権利を侵害して相続人と争いになる場合があります。生前の贈与の場合は「あげます」という申し出に対して「いりません」と断ればよいのですが、遺贈の場合は「遺贈の放棄」の手続きが必要となります。
具体的な「遺贈の放棄」の方法は、上述のとおり、包括遺贈と特定遺贈の2つの種類によって次のとおりとなります。
①包括遺贈の場合
包括遺贈の場合には、相続放棄と同様に家庭裁判所に申述をする方法になっています。申述は、申述書と遺贈がわかる書類を亡くなった方の最後の住所を所轄する地域の家庭裁判所に提出して行います。なお、包括遺贈は相続放棄に準じて行うことになりますので、包括遺贈があったことを知った時から、原則として、3ヶ月以内に申述をしなければならないという期間制限があることを知っておく必要があります。
②特定遺贈の場合
特定遺贈の場合には、上記①のような手続きの制限がないので、相続人や遺言書について遺言執行者がいる場合には同人に対する意思表示で行います。一般的に、実務上は「遺贈の放棄」をしたことを公に示す手段として内容証明郵便で行います。