Q:特別受益について教えてください
A: 特別受益とは、一言でいうと相続分の前渡しといえる生前贈与のことで、故人から「生前贈与」や「遺贈」、「死因贈与」で受け取った利益を指します。
この制度は、相続財産の分割の際に公平に財産を分けることを目的として存在しています。このような利益を受けた共同相続人を「特別受益者」といい、その利益を「特別受益」といいます。
「特別受益」とみなされる主なものは、次のとおりです。
◇婚姻時に受け取った持参金
◇住宅取得資金
◇扶養義務の範囲を超えた多額の援助
◇独立のための事業資金等
◇高額な高等教育の学費
なお、生命保険、相続人以外への贈与、おしどり贈与、死亡退職金などは「特別受益」に含まれません。
具体的に相続分を算出する場合は、「特別受益者」の利益分は相続分の前渡しとみなして算出します。
しかし、他の共同相続人の合意がある場合、また、被相続人が遺言書で持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合は持ち戻さなくてもよいとされています。
また、次のとおり近年において特別受益に係る法改正がされていますので、注意が必要です。
▽2019年7月1日の法改正により、遺留分を算定するための財産においては、相続開始前10年以内に行われた相続人への贈与と、相続開始前1年以内に行われた相続人以外への贈与の価額が持ち戻して計算されるようになりました。
▽2023年4月1日の法改正により、特別受益を主張できる期間が相続開始から10年となりました。