2022.07.25更新

Q:共同相続人の住まいが遠隔地でバラバラです。遺産分割協議の方法を教えて下さい。

 

A:遺産分割協議の行い方に特段の制限はありません。要は相続人全員の意思が一致して遺産分割協議が成立すれば良いのです。

 

ですから、全員が一箇所に集まって相談をしなくても、例えば、①1枚の遺産分割協議書を各相続人に順番に送付して署名・捺印してもらう方法や、

 

②同じ内容の遺産分割協議書を各相続人分作成してそれぞれに送付し、各人に署名・捺印してもらうやり方などがあります。

 

元来、法的には書面を作成する必要は無いのですが、相続税の申告で特例を受ける場合とか不動産登記や預貯金の名義の書換えなどの手続きに産分割協議書が必となります。また、後々「言った、言わない」の争いになることを防ぐためにも、一般的には遺産分割協議書を作成します。

 

一方で、遺産分割協議が成立しなかった場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。調停が不成立となったときは、審判手続きに移行して「相続」ではなく、所謂、「争続」となってしまうケースも少なくありません。

2022.07.14更新

Q:次のように売却する土地と家屋の所有者が異なっていた場合には、居住用資産を売却した場合の3,000万円控除(以下、「特例」といいます)は適用できるのでしょうか。

 

Q1 土地は「父親」所有で、家屋は「父親」と「私」が持分2分の1ずつ所有していて、この家屋に「父親」だけが居住していた場合。

 

A:「お父さん」が所有する土地は、「お父さん」がその全部を居住の用に供している家屋の敷地です。したがって、たとえ家屋が共有であったとしても、その土地の全部を居住用家屋の敷地として特例の適用をしても差し支えありません。なお、「あなた」は家屋を居住の用に供していませんので、家屋の持分2分の1について特例の適用はありません。

 

Q2 土地は「父親」と「私」が持分2分の1ずつ所有で、家屋は「父親」所有で、この家屋に「父親」だけが居住していた場合。

 

A:「お父さん」が所有する土地の持分2分の1は、「お父さん」がその全部を居住の用に供している家屋の敷地です。したがって、「お父さん」が所有する土地の持分2分の1を居住用家屋の敷地として特例の適用をしても差し支えありません。ただし、「あなた」が所有する土地の持分2分の1は「あなた」の居住の用に供していませんので、特例の適用はありません。

 

なお、上記「Q2」について、仮に「お父さん」と「あなた」が同居していた場合には、家屋を所有していない「あなた」に特例適用の余地が生じます。それは、「お父さん」が特例適用枠3,000万円を適用して、なお、3,000万円に満たない金額に限って「あなた」の特例適用が認められます。

 

詳しくは、私ども税理士にお尋ねください。

2022.06.20更新

Q:遺贈と死因贈与の違いを教えて下さい

 

A:遺贈は、遺言による贈与のことをいい、死因贈与とは贈与する人の死亡を条件に、贈与を受ける人との合意で行われる契約のことをいいます。

 

その主な違いは以下のとおりです。


1. 遺言は財産を渡す人(被相続人)だけの一方的な意思表示により行われ、受取る人の承諾は必要がありません。これに対し、死因贈与は財産を渡す人と受取る人との合意が必要で、受取る人の承諾を得なければ死因贈与契約は成立しません。


2. 遺言は民法でその方式は定められており、方式によらない遺言は無効になってしまいます。これに対し、死因贈与は方式に定めはなく、口約束でも可能で必ずしも書面で行わなければならない訳ではありません。とはいえ、口約束の場合、故人の真意と認められない可能性があります。また、死亡後には生前の口約束の証明は困難になってしまいます。後からトラブルが起きないように公正証書などの文書にしておくことが肝要です。


3. 書き直しや撤回は自由ですが、遺言書と死因贈与契約書の両方が発見された場合には、日付の新しい方が優先されることとなります。


4. 他の相続人の遺留分を侵害する遺言や死因贈与は、いずれも遺留分侵害額請求の対象となります。


5. 死因贈与により、土地や建物を移転すると不動産登記にかかる登録免許税が遺贈と比べて高くなる場合があります。

 

また、上記の他、遺贈と死因贈与の大きな違いとして、死因贈与には負担付贈与というものがあります。これは贈与を受ける人が贈与を受ける代わりに、贈与した人の生活の面倒を見るなどの義務を負うという贈与形態です。なお、負担付贈与では、贈与をした人が勝手に契約を破棄することは認められていませんので注意が必要です。

2022.06.13更新

Q:贈与税の配偶者控除の特例について詳しく教えてください。

 

A:「贈与税の配偶者控除」は「おしどり贈与」とも呼ばれ、「居住用不動産を贈与又は取得資金を贈与」したときに、夫婦間に認められている贈与税の優遇制度で、2,000万円までなら贈与税を免除するという制度です。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますから、合計で2,110万円までが非課税となります。

 

特例を受けるための要件は、次の3点です。

 

(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。


(2)配偶者から贈与された財産は、 居住用不動産であるか居住用不動産を取得するための金銭であること。


(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

 

(注1「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地もしくは土地の上に存する権利または家屋で国内にあるものをいいます。
(注2)配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。             (国税庁)

 

 

例えば、夫名義のマイホームの一部を妻に贈与(おしどり贈与)した後に、夫が亡くなった場合、その贈与部分は相続財産にはなりませんので、相続税が軽減されるメリットがあります。

一般的に相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続財産として相続税の対象になりますが、おしどり贈与の場合には相続財産になりません。また、マイホームを売却して利益が出たときに、3,000万円控除される制度がありますが、夫婦がそれぞれ活用できると6,000万円が利益から差し引かれます。

なお、注意が必要なことは、不動産取得税や登録免許税がかかりますし、毎年、固定資産税や都市計画税の請求がくることになります。

 


贈与税の配偶者控除の特例(相法21条の6)チェックシート

(参考:国税庁)

1 贈与者(財産をあげた方)は、あなたの配偶者ですか。
2 婚姻の届出をした日から贈与を受けた日までの期間は20年以上ですか。
3 過去に、この特例を受けたことがありますか。
4 贈与を受けた財産は不動産(土地等・建物)又は金銭ですか。
5【不動産の贈与を受けた場合】その不動産は国内にある不動産ですか。
  【金銭の贈与を受けた場合】その金銭を翌年3月15日までに国内にある居住用不動産の取得に充てますか
6  その不動産は専ら居住の用に供しますか。
7  その不動産に現在居住しているか、または翌年3月15日までに居住する予定ですか。
8  今後、ひき続きその不動産に居住する予定ですか。

2022.05.20更新

Q:相続税の申告期限である10ヶ月以内に遺産分割協議が整う可能性がありません。どうしたら良いですか?

 

A:相続税の申告期限は原則延長できません。このような状態を「未分割」といいます。


「未分割」の場合の相続税の申告は、一旦、法定相続分で財産を分けたとして申告書を提出します。

 

しかし、注意を怠ってはいけないのは、「未分割」のままの申告では、「配偶者の税額軽減の特例」、「小規模宅地等の特例」(以下、「各特例」といいます。)が適用できませんので、相続税納税額は高くなります。

 

対応策としましては、「申告期限後3年以内の分割見込書」を「未分割」の申告書を提出する際に添付して提出します。

 

そして、その後、分割協議がまとまった段階で、その日の翌日から4か月以内に、各特例適用して再度申告手続きをします。その手続きを「更正の請求」といい、計算内容等が認められれば払いすぎた税金が還付されます。

2022.04.22更新

Q:住宅取得資金の贈与税の非課税制度にについて知りたい

 

A:令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与によって自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築や取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下、「住宅取得資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、贈与を受けた者ごとに次の住宅資金の贈与が非課税となります。(国税庁)

 

① 省エネ等住宅の場合には1,000万円まで
② 上記①以外の住宅の場合には500万円まで

 

なお、非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

 

また、この制度は「相続時精算課税制度」(限度額2,500万円)と組み合わせて使うことも可能です。

 

2022.04.14更新

Q:不動産収入があり、青色申告をしたいのですが。

 

A:青色申告をするためには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。そして、その収入や必要経費などの金額を集計する際に、簡易帳簿か複式簿記による帳簿を作成することが求められます。また、実際に税務署に青色申告する際には、申告書の他に決算書などを添付することが義務付けられます。

 

しかし、その代わりに青色申告を行う人には、次の税務上の恩典を与えて節税効果が得られるように配慮されています。

 

① 青色申告特別控除が受けられる
② 所得の損失額を翌年以降3年間繰り越すことができる
③ 青色事業専従者給与を必要経費にできる

 

なお、不動産の貸付けが事業となるかの判断については、原則として社会通念上、事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。

 

ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に該当すれば、原則として事業として判断されて取り扱われます。

 

⑴ 貸間やアパートなどは、貸与できる独立した室数が概ね10室以上であること
⑵ 独立家屋の貸付けは、おおむね5棟以上であること

 

また、上記③の「青色事業専従者給与」を不動産収入の必要経費とするには、当然、青色事業専従者に対して給与が支払われていることを必要としますが、その「青色事業専従者」とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。

 

⑴ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
⑵ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
⑶ その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
⑷ 青色事業専従者給与に関する届出書を納税地の所轄税務署長に提出していること

 

2022.04.12更新

Q:不動産収入で生計を維持しようと考えていますが、個人の「青色申告」にするか、「法人化」にしてしまうか悩んでおります。

 

A: 個人の不動産収入を青色申告をするには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。その不動産収入が「事業的規模」に該当する場合は、一定の条件のもと「青色事業専従者給与」という特典を受けることができます。

 

このように青色申告をする場合、例えば1,000万円の不動産所得(不動産収入-経費)のある人が、更に青色専従者への給与300万円を経費にすることがメリットとなります。

 

一方、青色申告のメリットだけでは解決できないほど不動産所得が高額な場合は、法人と個人にかかる税率の差を活用することや法人の従業員への給与の支払いや個人では経費にしにくいものを経費化できるなどの観点から、法人化を検討する必要があると思います。

 

なお、この「青色申告」か「法人化」を選択する場合の不動産所得の額のボーダーラインは、1,000万円程度を目安とされると検討の余地があると考えられます。

2022.03.28更新

Q:「空き家特例」(相続した空き家の売却)のポイントを知りたい

 

A:相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人が一人住まいとして居住の用に供していた土地・家屋(家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたもの)を相続した相続人が、①その家屋を取り壊して更地にして売却するか、②その家屋に耐震リフォームを施して売却した場合には、譲渡所得(譲渡収入金額-必要経費)から3,000万円が特別控除されます。

 

例えば、次の条件で上記の①と②のケース別で比較してみましょう。
・譲渡収入金額4,000万円
・必要経費を購入価額がわからない土地・家屋の場合の概算取得費

(売却価格の5%が取得価格となる取り扱い)
・家屋取り壊し費用200万円
・家屋の耐震リフォーム費用1,000万円

 

①更地にして売却するケースの場合

        (概算取得費) (取り壊し費用)(特別控除)
4,000万円-200万円(4,000万円×5%)-200万円-3,000万円=600万円が譲渡所得となります。
税額は、600万円×20%=120万円(所得税15%・住民税5%)となります。

 

②耐震リフォームを施して売却するケース

   (リフォーム費用)(特別控除)
4,000万円-1,000万円-3,000万円=0円が譲渡所得となります。
このケースの場合は、譲渡所得が0円ですので税額は発生しません。

 

以上のとおり、①更地にして売却するか、②耐震リフォームを施して売却するかを選択する際には、どちらのケースが高く売却できるかなど、あらゆる面から熟慮して決める必要があります。事前に専門家にご相談されるようお奨めいたします。

2022.03.08更新

Q:相続した不動産を売却した場合の税金について教えて下さい

 

A:不動産を売却した場合、その所有期間によって所得税・住民税が変わります。

 

不動産の売却益に相当する譲渡所得に対しては、その所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分され、所得税・住民税の税率が変わります。

 

所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得とされ、所得税30%・住民税9%と復興特別所得税として所得税額に対し2.1%が課税され合計で39.63%の税率で課税されます。

 

所有期間が5年を超えた場合は、長期譲渡所得とされ、所得税15%・住民税5%と復興特別所得税合わせて20.315%の税率となります。

 

また、相続した不動産を売却した場合、所有期間の算定基準は売却した年の1月1日時点での期間で判定することとなっていますが、その取得時期は前所有者(被相続人)の取得時期が引き継がれます。

 

例えば、亡くなった前所有者(被相続人)が2016年5月15日に不動産を取得していた場合で、その後、その不動産を相続して2022年5月16日に売却したとしましょう。


この場合は、実際に所有していた期間は5年と2日となりますが、税務上の売却時の所有期間の判定時期が2022年1月1日となることから、所有期間は2016年5月16日から2022年1月1日の約4年7ヶ月と判定されます。

 

このように不動産の売却を検討する場合には、その所有期間が5年を超えると税率が大幅に下がることから、相続した不動産の所有開始時期の確認を確実にして、短期・長期の判断をされることはとても重要なことです。

 

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