2022.10.25更新

Q:被相続人である父が所有する別荘は小規模宅地等の特例の対象となりますか。

 

A:小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」(特定居住用宅地等)の判定は、基本的に被相続人等が、その宅地等の上に存する建物に生活の拠点を置いていたかどうかにより判定されます。

 

具体的には①被相続人の日常生活の状況、②その建物の入居目的、③その建物の構造及び設備の状況、④生活の拠点となるべき他の建物の有無、などの事実関係を総合勘案して判定されることになります。

 

したがって、次のような場合は、たとえ被相続人等がその建物に居住していた事実があったとしても、被相続人等が生活の拠点を置いていた建物とは判定されません。

 

イ 居住の用に供する建物の建築期間中だけの仮住まいである建物
ロ 他に生活の拠点と認められる建物がありながら、小規模宅地等の特例の適用を受けるためのみの目的で一時的に入居した建物
ハ 主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する建物
                                                      (出所:国税庁Q&Aより)

2022.10.18更新

Q:実姉が亡くなり、私と弟で遺品を整理していたら、実姉が加入していた生命保険証券が見つかりました。

実姉は未婚でしたので、保険金の受取人は既に亡くなっている母になっていました。父もそれ以前に他界しております。

 

この場合には、誰が保険金を受け取ることができるのでしょうか。

 

A:死亡保険金の請求権は、被保険者であるお姉様が亡くなった時点で、受取人に指定されているお母様の権利となります。

 

もし、保険受取人が被保険者よりも先に亡くなった場合はお母様からどなたかに受取人の変更手続きをするのが一般的です。

しかし、お尋ねの場合は、お母様が亡くなった際に受取人の変更手続きをしていなかったので、お姉さまが亡くなった今となっては、その手続きはできないこととなります。

 

それでは、死亡保険金の請求権はどうなるのかというと、保険法46条の規定では保険金受取人が被保険者より先に死亡していた場合には、「保険金受取人の相続人の全員が保険金受取人となる」と定められています。

 

そして、その際の保険金の受取割合は、法定相続分に従うのではなく、全ての相続人が平等に受け取ることができるとされています。

 

以上が、保険法による原則的な受取人に関するルールですが、保険会社の約款や契約によって、異なる受取人や受取割合が定められている場合には、これに従うこととなりますので注意が必要です。

この点については、保険会社にお問い合わせした方がよろしいでしょう。

 

2022.10.11更新

Q: 3箇月の「熟慮期間」(後述)を過ぎてから被相続人に多額の借金があることが判明しました。この場合、相続放棄はできませんか。

 

A:民法第915条1項は、「 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定しています。この3箇月間を「熟慮期間」といいます。また、熟慮期間内に手続きをする場合は、家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。

 

お尋ねのように熟慮期間を過ぎてしまった場合は、前述の通り、通常では相続放棄はできません。しかし、民法第915条1項のただし書きに「この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」と規定しています。この期間伸長の請求に該当して例外的に3箇月経過後の相続放棄を認めてもらうためには、次の点を申述書に記載して詳細に言葉を尽くして説明し、裁判所の了解を得る必要があります。

 

①被相続人の多額の借金を把握できなかった経緯
②3箇月以内に相続放棄ができなかった理由
なお、次のような場合は、熟慮期間内でも相続放棄はできません。
※相続財産を処分(売却・取壊し・解約など)した場合
※相続財産を隠匿、費消した場合

2022.10.04更新

Q:亡くなった父に多額の住宅ローンの債務が見つかりました。理由は自宅の建築にあたり銀行等から融資を受けていたからです。このローン残高は相続税の申告をする場合、相続財産から債務として差し引くことができますか?

 

A:相続財産の全貌を確定させるためには、借入金などのマイナスの財産である債務も確認しなければなりません。特に、住宅ローンの場合には、団体信用生命保険(通称:「団信」)に加入しているかどうかの確認が必須となります。

 

団体信用生命保険とは、債務者が銀行等から融資を受ける際、その銀行等を保険金の受取人にする生命保険です。この保険に加入していると、債務者が死亡した場合には、その時点で銀行等への債務の返済が保険金によって、いわば自動的に完了する仕組みとなっています。したがって、債務者の相続人には返済義務が承継されませんので、被相続人(債務者)の債務に計上することはできません。

2022.09.26更新

Q:国民年金や厚生年金の停止手続きを教えてください

 

A:国民年金や厚生年金の受給者が死亡した場合、次のとおり年金受給の停止手続きをしなければなりません。なお、手続きは年金事務所または年金相談センターでできます。

 ・国民年金 死亡後14日以内
 ・厚生年金 死亡後10日以内

 

手続きは、最初に「年金受給者死亡届(報告書)」を提出することとなります。ただし、生前にマイナンバー登録が済んでいる場合は、死亡届の提出を省略することができます。

さらに、ほかに年金証書、死亡診断書か埋葬許可書、除籍謄本、故人と年金請求者の住民票の写し(所帯全員)などが必要となります。

 

また、年金の支給は2か月ごとになされますから、故人が受け取るべき年金を受け取らないまま亡くなっている場合もあります。

その場合は、「未支給年金・未支給給付請求書」を提出して支給を受けることができます。

ただし、この場合には受給順位があって、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→その他(3親等以内の親族)の順となっています。

なお、上記の未支給年金は相続財産にはなりません。(平成7年11月7日最高裁判決)

2022.08.30更新

Q:分割協議がまとまらず納税資金の手当てができません

相続人全員の話し合いがまとまらず、未分割のままで申告することとなりました。相続財産が多いので、納税額が相当な金額になりそうです。ただし、相続財産の金融機関の預金口座が凍結されているため、納税資金がない状態です。

 

A:金融機関(銀行等)は、相続開始の情報を得た場合に、故人名義の口座(預貯金等)を凍結して、入出金ができないようにしてしまいます。金融機関が口座を凍結する理由は、故人の預貯金が「遺産」の対象となるからです。

 

特に預貯金は銀行のATM機で親族が故人のキャッシュカードを持参して暗証番号さえ入力すれば、本人確認なしで預金者本人でなくても容易に引き出すことができます。そのため、親族が勝手に預金の引き出しを行い自分のものとした場合、後日、他の相続人とのトラブルとなることも想定されます。

 

銀行としては、安易に故人の預貯金が引き出されてしまうと、他の相続人から抗議を受けることがあり、相続争いに巻き込まれないために故人の口座を凍結することになります。

 

しかし、故人の口座が凍結されると相続開始後の葬儀費用の支払いや相続税の納付に必要な場合に、その資金に困るといったケースがあります。そのため、2019年7月1日の民法改正で各々の相続人が金融機関ごとに150万円を上限として、預貯金残高の3分の1までの範疇で仮払いを請求する制度が施行されました。これにより、仮に、金融機関3ヶ所の利用で預貯金残高が充足していれば最高450万円まで引き出せることとなります。

 

これでも当面の資金が足りない場合は、各金融機関の相続手続きの案内に従って故人の預貯金の解約や名義変更を進めることとなります。

2022.08.23更新

Q:相続税の障害者控除について教えてください

 

A:相続税の障害者控除とは、相続人の中に85歳未満の障害者がいる場合に相続税の額から一定の金額を差し引くことができる制度です。中には、障害者控除の対象となった相続人が納めるべき相続税がゼロになることもあります。

この点では、相続税の基礎控除は相続財産の評価額から控除されますが、障害者控除は税額から控除されますので、相続税の軽減効果としては大変大きいものとなります。

 

◎ 障害者控除が受けられるのは次の全てに該当する人です。


(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または、非居住被相続人である場合を除きます)


(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人


(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること

 

◎ 障害者控除額の計算方法は次のとおりです。


障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。

なお、この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。

 

 また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引くことができます。

(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

なお、その障害者が今回の相続以前においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。                  (出所:国税庁HP)

 

具体的な障害者控除額の計算式は以下のとおりです。


① 一般障害者の場合 (85歳-相続開始時点の年齢)×10万円


② 特別障害者の場合 (85歳-相続開始時点の年齢)×20万円

2022.08.15更新

Q生涯独身だった妹が亡くなり、相続人が私(弟)と妹2人の場合に、相続手続きに必要な戸籍書類を私が兄妹の分を請求することはできますか。

 

Aあなたは民法上亡くなった方の法定相続人として財産を相続する権利があります。ですから、相続手続きに必要な戸籍書類はあなたでも請求することが可能です。

ただし、請求するためには、戸籍書類が必要であることの正当な理由を明確にする必要があります。

このことは、戸籍書類を請求できる者について、以下のように定められています。(戸籍法第10条・第10条の2)

 

1.戸籍に記載されている本人又はその配偶者、その直系尊属(父母、祖父母等)若しくは直系卑属(子、孫等)
2.自己の権利の行使又は義務の履行のために必要な方
3.国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
4.その他の戸籍に記載された事項を利用する正当な理由がある方

 

なお、通常、傍系親族(兄弟姉妹、叔父、叔母、甥、姪など)の戸籍書類は請求できないのですが、次の全ての要件を満たしている場合には、例外的に請求が認められます。


①相続手続きのために必要であって「自己の権利行使又は義務の履行のために必要な方」に該当すること
②相続人であることがわかる戸籍書類や本人確認書類を提示すること
③戸籍書類が必要な理由や使用目的を明確にすること

 

このように、兄弟姉妹が相続人となるときは、集める戸籍書類も多くなり大変な手間がかかるケースもあります。ご自身で戸籍書類を請求することが難しい場合は、弁護士等(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士)の専門家が代わって交付請求してくれますので、お早めに専門家にご相談されることをおすすめします。

2022.08.04更新

Q:相続税の土地の評価で「利用価値が著しく低下している宅地」とは何ですか。

 

A: 利用価値が著しく低下している宅地とは、付近にある他の宅地の利用状況と比較して、著しく利用価値が低下していると認められる部分のある宅地をいいます。

 

そして、その宅地の著しく利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額(以下、「10%評価減」といいます。)によって評価します。

 

国税庁では課税実務上、利用価値の著しい低下が生じる例を次のとおり示しています。

 

①道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの


②地盤に甚だしい凹凸のある宅地


③震動の甚だしい宅地


④上記①~③までの宅地以外で、騒音、日照障害(建築基準法第56条の2に定める日照時間を超える時間の日照障害のあるもの)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの

 

ただし、上記①~④の例について、既に、路線価が利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には、10%評価減は斟酌されませんので注意が必要です。

 

また、過去の裁決事例では、例えば、新幹線の高架線の敷地に隣接し、かつ、元墓地である土地の評価で、震動及び騒音の他、忌み、日照及び眺望への各影響を考慮して合計30%の評価減が認められたケースも存在します。

2022.07.26更新

Q:小規模宅地等の特例の適用をすれば、基礎控除以下でしたので相続税の申告は必要ないと思い込み、遺産分割協議も行っていませんでした。

 

既に、相続税の申告期限は過ぎていますが、これから遺産分割をして小規模宅地等の特例の適用を受けて申告をすることはできるのでしょうか。

 

 

A:小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、申告期限までに共同相続人又は包括受遺者により遺産分割が行われていなければなりません。

 

申告期限が過ぎていますと、このままでは適用は受けられないこととなります。

 

ただし、次のとおり特例の適用を受けることができる場合があります。

 

①申告期限後に提出する申告書に申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合

(租税特別措置法第69条の4第6項)

 

②上記①の手続きをして、なお、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において相続等に関する訴えが提起されているなど、一定のやむを得ない事情がある場合には、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、その申請につき所轄税務署長の承認を受けた場合には、判決の確定の日などの日の翌日から4か月以内に分割された場合

 

なお、適用を受ける場合は、上記①・②ともに分割が行われた日の翌日から4か月以内までに「更正の請求」を行う必要があります。

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