2023.08.04更新

成年後見制度は、大きく「法定後見制度」「任意後見制度」の二つの制度に分かれています。

 

「法定後見制度」とは、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症等)で判断能力が不十分な人が消費者被害など、本人にとって様々な不利益を被る被害から法的に保護するために設けられています。この制度は、障害の程度に応じて「後見」「補佐」「補助」の三つに分かれますが、ここでは、「後見」に限定して解説します。

 

この制度の手順は、申立人が家庭裁判所に法定後見の審判の申立てを行い、同所の審判が確定されることで保護が開始されることとなります。なお、後見開始の審判がされると、家庭裁判所が後見人等を選定して法定後見が開始され、特別な事情がない限り本人が死亡するまで続きます。

 

「任意後見制度」とは、本人の判断能力が十分なうちに、あらかじめ選んだ任意後見人との間で、自分の生活、療養看護、財産管理に関する事務に関する代理権を与える契約(後見契約)を公正証書(任意後見契約公正証書)で締結しておくものです。

 

この制度の場合は、任意後見に係る契約内容を本人と任意後見人との間で決定できるので、法定後見よりも、本人の意思を反映させることが比較的容易となります。やがて、本人の判断能力が低下した場合、任意後見人などが家庭裁判所に対して、任意後見人の後見事務を監督する任意後見監督人の選任を請求して、家庭裁判所でその任意後見監督人が選任されたら任意後見がスタートします。

 

このように、上記の二つの制度は、判断能力が衰える前か後かで後見の開始時期などが異なります。そして、その根拠法令も、「法定後見制度」は民法で、「任意後見制度」は任意後見契約法となっています。

 

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