遺産相続における特別代理人
2023.10.13更新
遺産分割協議において相続人に未成年者がいる場合は、その親権者である父又は母が,その子との間でお互いに利益が相反する行為(これを「利益相反行為」といいます。)をすることとなりますので、子のために特別代理人を選任する請求を家庭裁判所にしなければなりません。(民法826条)
また,同一の親権に服する子の間で利益が相反する行為や,未成年後見人と未成年者の間の利益相反行為についても同様です。
利益相反行為とは,例えば,父が死亡した場合に,共同相続人である母と未成年の子が行う遺産分割協議で、未成年者とその法定代理人の間で利害関係が衝突する行為のことです。
この場合は、母は子の代理行為することはできません。そのため、親権者や利害関係者が、家庭裁判所に対して特別代理人の選任の申し立てを行う必要があります。その結果、母は特別代理人との間で遺産分割協議を行うことになります。
しかし、相続の内容や家庭の事情を知られるため、通常は、親族の方が特別代理人になることが多いようです。
ただし、家庭裁判所での特別代理人の選任には1か月程度かかります。相続税の申告は10ヶ月以内ですので、遺産分割協議書作成の時期が相続税の申告期限に関わってまいりますので、早めに申し立ての準備をしておくのが良いでしょう。
なお、遺産分割を行わず、法定相続分のとおりに相続する場合は、特別代理人の選任の必要はありません。