相続時精算課税活用の効果 ケース①
2021.06.29更新
相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与について選択できる贈与税の制度です。選択した年から2,500万円(特別控除額)の贈与までは贈与税がかかりません。
特別控除額を使い切ると、超えた金額について一律20%の贈与税がかかります。特別控除額の大きさと、超えた金額について一律20%の税率であるため、有利な制度に思えます。
但し、制度名から想像できるとおり、相続時に精算する必要があります。贈与時の価額ですべて相続財産に加算して相続税の計算をします。
相続時精算課税活用の節税効果の大きい事例として、安定的にキャッシュを生み出す資産の贈与に活用するケースがあります。
賃貸建物の優良物件は、建築時は現金よりも評価額が低いため相続税の節税になります。しかし、長く保有すればするほど、手元の現金が増加するため、ある時点からは節税効果がなくなってしまいます。
そこで、相続時精算課税を選択して、賃貸物件を子や孫に贈与すれば、贈与後の賃貸収入は子や孫のものですから、相続税の課税対象外です。2,500万円の特別控除を超えて20%の贈与税課税がなされても、最終的には相続税から控除することができるため、優良な賃貸物件を所有する土地持ちの資産家には検討に値する制度といえます。