不動産賃貸業の法人化に潜むリスク
2022.04.28更新
個人の不動産賃貸業を法人化したタイミングで不幸にも相続開始となった場合、税務上、損をしてしまうことがあります。例えば、賃貸アパートを所有している個人が、相続開始の直前にそのアパートを設立した法人に8,000万円で売却したケースの場合、法人からの売却代金8,000万円がそのまま債権として相続税の対象になります。
一方、何もしないで賃貸アパートを相続した時の評価額は、時価額が8,000万円だとしても固定資産税評価額はそれよりも低いことが多くなります。また、貸家なので更に30%の評価減ができます。結果として、設立した法人に売却した場合よりも相続税は低くなります。
これでは売却しなかった方が良かったということになります。このように法人化の節税効果を十分に発揮させるためには、相続開始まで一定の年限が必要になることを念頭におくことが必要となります。