よくある実務での勘違い(3)
2016.08.22更新
うっかり敷金の精算を忘れて時価課税!?
親から子へ賃貸アパート(建物の時価1億円、固定資産税評価額7,000万円。1,000万円の預り敷金あり)を贈与しました。しかし、賃借人から預かっていた敷金の精算を親子間で行うことをすっかり忘れていると税務上どのような問題が生じるでしょうか。
賃貸アパート(貸家)の相続税評価額は賃貸割合が100%だとすれば4,900万円(7,000万円×(1―30%))です。建物の贈与と同時に敷金相当額の現金を子に渡していると、4,900万円の贈与となります。しかし、建物の贈与の時にうっかりと敷金相当額の現金を子に渡していないと、9,000万円(建物の時価1億円-預り敷金1,000万円)の贈与となるのです。
これは、賃貸中の建物の新所有者は当然に敷金を引き継ぐとされているため、敷金相当額の精算を行わない贈与は、負担付き贈与に該当するためです。
そして、負担付き贈与に該当する場合の建物評価額は相続税評価額ではなく、通常の取引価額、すなわち時価とされています。
賃貸アパートを贈与する際には資金相当額の精算も併せて行うことを忘れないでください。