2021.10.28更新

作物を栽培し収穫するためや、緑地保全の観点からも、農地等を確保しておくことは、国土を利用していく上でとても重要なことです。

そこで、無計画に農地等が利用されないように農地法では、次のとおり農地(田・畑)や採草放牧地の取引等が規制されています。(農地法2条1項) 

 

① 権利移動の制限
 農地又は採草放牧地について、所有権の移転や借地権等の権利の設定をする場合には、原則として農業委員会の許可が必要となります。(農地法3条)

 

② 転用の制限
 農地を農地以外の地目に転用する又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにする場合は、原則として、都道府県知事の許可が必要となります。(農地法4条)

 

③ 転用目的権利移動の制限
 農地を農地以外の地目にするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするために、これらの土地について所有権の移転をすることや、借地権等の権利を設定する場合には、原則として、都道府県知事の許可が必要となります。(農地法5条)

 

なお、農地等の地目は現況で判断されますが、例えば、登記簿上では地目が田や畑となっていて現況が宅地となっている土地を売買する場合には、まず、登記簿上の地目変更登記をしなければなりません。

この場合には、まず、農地法3条の許可が必要となります。

 

ただし、同じ農地の権利移動でも、相続の場合に限っては、農業委員会への届出だけで許可申請を必要としません。(農地法3条1項12号)

 

更に、上記②や③の場合であっても、市街化区域内の農地の場合には、農業委員会への届出だけで許可申請を必要としません。(農地法4条1項8号、同5条1項7号)

2021.10.19更新

「接道義務」とは、建築基準法で原則4m以上の幅員の道路に2m以上接していない宅地には建築物を建築できないと定められていることをいいます。

 

この「接道義務」を満たさないと宅地が再建築不可物件となり、例えば古い実家を相続して売却を検討している際に、「接道義務」を満たしていないことが判明して困惑されることが稀にあります。

 

このように、再建築不可物件になってしまうと、宅地の価値が著しく低下しますし、買手が全くつかないといった状況になるケースもあるようです。

 

しかしながら、「接道義務」を満たさず、買手がつかなくても、宅地をどうしても売却したい場合は、例として次のような対応策があります。

① お隣の方に地続きの土地を一部お譲り頂き、宅地の間口を広げて接道義務を満たす
② お隣の方に土地を直に買ってもらう

 

なお、「接道義務」につきましては、他にも細かな基準があり、自治体によってその基準が異なるなどしている場合がありますので、お困りの際は専門家に相談しましょう。

2021.10.04更新

相続における遺産分割のトラブルを避けるため、土地を共有にするという方向に流れてしまいがちになります。しかし、このことが将来的に土地の権利関係を複雑にしたり、維持管理や売却する際のトラブルの元となります。

 

そこで、共有となっている土地はできるだけ早いうちに共有関係を解消することが望ましいと思われます。

 

解消する第一の方法として「共有物分割」があります。これは、土地を物理的に分離してそれぞれ単独所有にする方法です。共有持分の比率と分割後の不動産価格比が等しければ、税務上は分割による譲渡はなかったものとみなされます。

 

第二の方法として「共有持分の譲渡」という方法もあります。これは、共有持分を有償で他の共有者に譲渡する方法です。譲渡した際に譲渡益が生じると譲渡人に譲渡所得税がかかります。さらに、譲渡価額が時価よりも著しく低い場合には、取得者に贈与税がかかる可能性があるため、譲渡価額は慎重に決定する必要があります。

 

第三の方法として「共有分の交換」という方法もあります。互いに共有している2つの不動産がある場合に各々の共有部分を交換することにより単独所有とする方法です。交換は税務上において譲渡の一種ですが、一定の条件を満たしていれば交換の特例が受けられ、譲渡所得税はかかりません。

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