2024.07.18更新

7月16日よりTAO税理士法人本部オフィスは藤沢リラビル4Fから2Fへ移転しました。

TAO相続支援センターはこれまで通り藤沢リラビル3Fでございます。

2024.07.02更新

小規模宅地等の特例とは、小規模な宅地について、一定の要件を満たす宅地等については最大80%評価額を下げて相続税の負担を軽減できるという制度です。これだけ大きな減額割合ですので、その要件を満たすには厳しい条件をクリアーすることが要求され、また、その要件も複雑なものとなっています。

 

小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は、大きく分けて次の4つに分類されています。

① 特定居住用宅地等
亡くなった人の自宅として使っていた宅地等に対する特例
限度面積330㎡ 減額割合80%


② 特定事業用宅地等
亡くなった人の個人事業(貸付用を除く)として使っていた宅地等に対する特例
限度面積400㎡ 減額割合80%


③ 特定同族会社事業用宅地等
亡くなった人の会社(同族会社)として使っていた宅地等に対する特例
限度面積400㎡ 減額割合80%


④ 貸付事業用宅地等
亡くなった人が貸地又は貸家など貸付用としていた宅地等に対する特例
限度面積200㎡ 減額割合50%

 

今回は、上記4つの分類の内、亡くなった人が自宅として使用していた宅地等を対象とする「特定居住用宅地等」(上記①)について解説します。

亡くなった人が住んでいた土地について、「特定居住用宅地等」の要件を満たす取得者は「配偶者・同居親族・家なき子」の三者となります。

 

まず、「配偶者」は、無条件で要件を満たす取得者に該当します。


次に「同居親族」は、亡くなった人と同じ家に住んでいた親族が要件を満たす取得者に該当します。

ただし、二世帯住宅(区分所有)の居住形態の場合は要件を満たさないケースもありますので注意が必要です。

 

また、「家なき子」は、第三者所有の建物に賃貸暮らしをしている人が要件を満たす取得者に該当します。ただし、この場合は、その要件が次のとおり複雑となっています。

 

1. 居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと
2. 被相続人に配偶者がいないこと
3. 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと
4. 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の3親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと
5. 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
6. その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していること

 

なお、「特定居住用宅地等」の特例は、上記の他に亡くなった人と生計を一にする親族(亡くなった人と同じ財布で生活していた家族)が、亡くなった人所有の住宅に住んでいた場合も特定居住用宅地等に該当するとされています。

この場合、その要件を満たすのは「配偶者と生計を一にする親族」の二者になります。

 

また、小規模宅地等の対象となる宅地等を相続税の申告期限まで保有することが要件になっていますので、その前に売却すれば特例は受けられません。

ただし、無条件で特例の適用を受けられる配偶者は相続税申告期限前であっても対象の不動産を売却することができます。しかし、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等は、小規模宅地等の特例の適用対象外となります。

そして、亡くなった人が生前に老人ホームに入居していた場合でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用を受けられますので知っておくと良いでしょう。


このように、小規模宅地等の特例の適用については、その要件の解釈が大変難しいため、税の専門家に相談されることをお勧めいたします。

 

2024.06.25更新

相続税額の2割加算とは、相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の1親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される制度をいいます。

(相続税法第18条)

 

また、2割加算される理由は、次の2点によるものといわれております。


・法定相続人以外の人が相続するのは偶然性が高く「思わぬ収穫」であるため
・孫が次世代をスキップして相続すると相続税が一回分免れるため

 

 

例えば、以下の方は相続税額の2割加算の対象者となります。


(1)被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例:被相続人の兄弟姉妹や、甥、姪として相続人となった人が該当します)


(2)被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもあり、代襲相続人にはなっていない人(注:孫の場合は養子縁組をしても2割加算の対象者となります)
                                      (国税庁HPより抜粋)

 

2024.06.10更新

令和6年5月に国税庁より贈与税の申告状況が公表されました。

 

贈与税の申告書の申告人員は、歴年課税を適用した申告者が46万1千人、相続時精算課税を適用した申告者が4万9千人と総申告人員は51万人でした。

 

そのうち、申告納税額がある人(納税人員)は37万6千人で、その申告納税額は3,548億円となっています。これは、令和元年の2,500億円から比較しますと、約1,000億円増加しています。

 

また、贈与税の課税方法別の申告状況では、暦年課税の申告納税額が2,985億円、相続時精算課税の申告納税額が563億円で、いずれも対前年比10,9%増加しています。

 

近年、富裕層に限らず相続税対策の話題が多くなっている中で、今回の税制改正を踏まえて今後の贈与税の申告状況の動向が注目されます。

2024.05.28更新

デジタル財産(遺産)とは、法律上の定義はありませんが、亡くなった人がスマホ・パソコン・CD・メモリーなどにデジタル形式で保管していた財産(遺産)を意味するのが一般的です。

 

なお、相続の金銭的な側面に着目して財産的な価値のあるものだけを指していう場合もあります。例えば、次のような財産(遺産)が該当します。


〇暗号資産(仮想通貨)
〇電子マネー
〇クレジットカードのポイントやマイレージ
〇デジタルの著作物(著作権)
〇NFTアート
〇ネットバンクやネット証券の口座

 

上記の財産(遺産)は、目に直接見えないために遺品整理などの際に発見することが難しい場合があり、そのままにして放置されて、後でマイナスの影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

 

具体的例としては、①相続税の申告漏れ、②アプリの料金が知らないうちに加算されていた、③故人の写真や友人の情報が見つからない、④情報漏洩の不安などが、これまでに指摘されています。

 

また、相続税に関連するところでは、相続人によるデジタル財産(遺産)の把握において、故人の情報が「アドレス」や「パスワード」がわからなければ、財産の残高などの確認ができないという大きなリスクがあります。

もし、相続人がデジタル財産(遺産)の存在に気付かなければ、永久に知られることもなく、忘れられた財産(遺産)となることも危惧されます。

 

このような事態を引き起こさないために、デジタル財産(遺産)を所有している場合には、相続人がその存在を把握できるように生前の段階で財産(遺産)のリストを作成し、「アドレス」や「パスワード」の所在をわかるようにしておくなどの対策が肝要となります。

2024.04.18更新

「死因贈与」とは贈与する人(贈与者)と、貰う人(受贈者)との合意(契約)に基づいた贈与の一種で、贈与する人が死亡した時にその贈与の効力が生じる法律行為です(民法第554条)。

 

これに対して生きている間に財産を渡すことを「生前贈与」といいます。また、一方で、財産を渡す人が亡くなったことを原因に財産を無償で渡す法律行為に「遺贈」があります。「遺贈」とは、自分が亡くなった時に、自分の財産を他の人に渡すことを遺言書に明記することによって、財産の移転をすることをいいます。

 

このように「遺贈」「死因贈与」はどちらも財産を渡す人が亡くなったことを起因として行われる法律行為であることから、税務上においては相続税の課税対象となるという点では同じです。しかし、「遺贈」は財産を渡す側による一方的な意思表示を原因としますが、「死因贈与」は財産を渡す側と貰う側のお互いの意思の合意が必要となります。

 

このように両者の大きな違いは契約(合意)の有無ということになります。なお、登記の際の登録免許税や不動産取得税の観点からは、税務上の取り扱いと違い「遺贈」は相続として財産を貰うものとなりますが、「死因贈与」はあくまで贈与として財産を貰うものとなりますので、登録免許税や不動産取得税が高くなりますので注意が必要です。

 

よって、「死因贈与契約」は、①受取る資産を事前に知っておいて欲しい場合や、②介護などの条件付きで財産を渡したい時や、③法定相続人以外の人に財産を遺したい時などに活用されるケースが多いようです。

2024.04.09更新

相続登記とは、被相続人から不動産を相続した際に必要となる不動産の名義変更です。

ところが、近年、相続登記が行われないまま所有者が特定できない、いわゆる所有者不明の不動産が増加して社会問題となっています。

この事態の解消に向けて不動産の所有者を明確にする登記の義務化が決定されました。それが、新不動産登記法76条の2の新設です。

 

この法律では、令和6年4月1日より、次のとおり不動産登記の義務化を定めています。

 

相続による取得を知った日から3年以内の登記の申請が義務化され、違反すれば10万円以下の過料が科せられます。

対象となる相続登記は法改正移行に発生した相続だけでなく過去の相続も含まれるため注意が必要です。

したがって、過去に不動産を相続した方は名義変更が完了しているか確認が必要です。完了していない場合は、令和9年3月31日が相続登記の期限となります。

 

住所変更登記については、令和8年4月1日に施行されます。

氏名・住所等の変更があった場合、その日から2年以内に変更登記を行わない場合は、5万円以下の過料が科せられます。

 

なお、現在、登録免許税は最終取得者以外の相続登記については、免税措置が設けられています。

例えば、祖父の名義のままとなっていた不動産を父が相続登記をしないまま死亡した場合、最終取得者である相続人が相続登記をしようとすると、祖父から父への相続登記を行い、その後、父から自身への相続登記を行う必要があります。相続登記を2回分行うこととなります。通常であれば登録免許税を2回支払うことになりますが、免税措置により父から相続人への相続登記の登録免許税のみで登記が可能となります。

 

なお、この免税措置は令和7年3月31日までの時限措置となっています。過去の相続登記も義務化対象で罰則が付きますので、免税措置の期間内に、相続登記を完了されることをお勧めいたします。

2024.03.28更新

障害者が相続により財産を取得する場合、算出された相続税額から一定額を差し引くという税額控除の制度があります。これは、障害者の多くは親族の誰かの扶養になっていることから、扶養していた家族の死亡に伴い相続人である障害者に多額の相続税が課されると、その後の生活が立ち行かなくなります。それらを配慮して相続税の負担を軽減するのが障害者控除です。具体的には、相続人が85歳未満の障害者の場合に相続税の額から一定の金額を差し引きます。

 

障害者控除が受けられる人

 

障害者控除が受けられるのは次の全てに当てはまる人です。

 

(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)

相続などで財産を取得した時に外国に居住していて日本に住所がない人は、取得した財産のうち日本国内にある財産だけが相続税の課税対象になります。

ただし、次のいずれかに該当する人が財産を取得した場合には、日本国外にある財産についても相続税の課税対象になります。

 

1 財産を取得したときに日本国籍を有している人で、被相続人の死亡した日前10年以内に日本国内に住所を有したことがある場合か、同期間内に住所を有したことがなく被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人でない場合

2 財産を取得したときに日本国籍を有していない人で、被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人でない場合

 

(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人

 

(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。

 

障害者控除の額

 

一般障害者:10万円×(85歳―相続開始の年齢)
特別障碍者:20万円×(85歳―相続開始の年齢)

 

年数において1年未満の期間があるときは、1年切り上げて1年として計算します。
なお、その障害者が今回の相続以前の相続においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。

 

上記の計算式によって計算された障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きい場合があります。その場合、引き切れない部分の金額はその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。扶養義務者とは、配偶者と民法に定める3親等以内の直系血族(両親、祖父母や子、孫など)兄弟姉妹、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等以内の親族です。扶養義務者が2人以上いる場合は、扶養義務者全員の協議で控除額を決めます。

 

 

 

 

2024.03.15更新

相続税における「配偶者の税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

 

(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額
                                                     (国税庁HPタックスアンサー)

 

上記の「配偶者の税額軽減」の制度は、被相続人の配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されますが、隠蔽または仮装されていた財産は含まれないこととなっています。

 

また、この制度を適用する条件として、①相続税の申告を行うこと②遺産分割をしていることが要件となります。したがって、二つの要件を満たしたところで、税務署に相続税の申告書の提出が必要ということとなります。仮に相続税の納税額が0円であっても申告書の提出は必要となりますので注意が必要です。

 

なお、相続税の申告期限までに分割されていない財産は、上記の②の要件を満たしていないので、この制度の対象になりません。ただし、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)に相続税の申告書を税務署に提出する際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しますと、申告期限までに分割されなかった財産を申告期限から3年以内に分割したときは、この制度の対象になります。

 

このように「配偶者の税額軽減」の制度は、相続税の節税対策として極めて有効な制度です。しかし、具体的に遺産分割の際に一次相続での配偶者の相続の割合を決めるときは、税額軽減の適用による税負担の軽減を優先しがちですが、将来の二次相続のときの税負担を見据えて財産を分割して、できるだけ税負担を小さくすることを考慮して決めることが求められます。

2024.03.05更新

遺言とは人の最終意思を尊重する制度といわれています。遺言書の作成方法は民法で定められていますので、有効な遺言をするにはその定めに従って遺言書を作成しなければなりません。そして、遺言書の内容で法的な効力を持つ事柄は決まっています。これを法定遺言事項といいます。

 

法定遺言事項は、主に以下の事項が挙げられます。

 

・共同相続人の相続分の指定、または第三者への指定の委託
・遺産の分割方法の指定、または第三者への指定の委託、及び遺産の分割禁止
・遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め
・推定相続人の廃除、または廃除の取り消し
・特別受益の持ち戻しの免除
・遺留分侵害額請求の負担方法の定め
・生命保険の保険金受取人の変更
・遺贈
・財団法人を設立する意思の表示
・信託の設定
・婚姻外の子の認知
・未成年後見人、未成年後見監督人の指定
・遺言執行者の指定、又は第三者への指定の委託
・祭祀を主宰すべき者の指定

 

また、法的拘束力はありませんが、遺言者の思いや希望を遺言に付記する「付言」により、遺言者の意思に沿った相続が行われることも多いようです。付言はメッセージですので、従う義務はなく自由に判断してよいものとされています。

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