令和6年1月1日から暦年課税は相続税の生前贈与加算の年数が原則3年以内から7年以内に延長されます。
この改正により、毎年こつこつと110万円の贈与税非課税枠の範囲で妻や子に贈与した財産ですが、これからは相続の発生7年以内の贈与は相続財産に加算(持ち戻し)されます。
つまり、110万円を10年間に渡って計1,100万円贈与していた場合、これから、相続が発生すると770万円は持ち戻しされて相続財産となります。したがって、納税者にとっては不利な改正になりました。
相続時精算課税制度を選択すると累計2,500万円の非課税枠があり、贈与税は課税されませんが、相続が発生した時に贈与した財産は相続財産に加算(持ち戻し)されます。
しかし、令和6年1月1日以降、相続時精算課税制度に「年間110万円の基礎控除」が新たに創設されます。
相続時精算課税制度に基礎控除が創設されることで、2,500万円の非課税枠とは別に年間110万円の基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりません。
しかも相続財産に持ち戻しの対象にもならず、相続財産に加算する必要もありません。
ただし、相続時精算課税制度を初めて選択する場合は、贈与が基礎控除以下であっても贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに受贈者の戸籍謄本等を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
この基礎控除の創設により、相続時精算課税制度が使いやすくなりました。しかし、一方で、贈与する金額や期間によっては、暦年課税の方が有利になる場合もあります。
どちらを選択するかの判断は税理士等の専門家に相談されることをお勧め致します。