土地の無償貸与で相続対策!?
他人に建物所有目的で土地を貸すと、所有している土地に借主の借地権が発生するため底地となり、相続税評価額は大きく下がります。このことを聞いたのでしょうか、相続税対策と称して親族に土地を貸している方がいました。ただし、金銭のやり取りは一切なく、無償貸与です。
この場合、実は土地の評価額は1円も下がりません。なぜなら、このような無償の取引を使用貸借といいますが、個人間で土地の使用貸借を行った場合、「税務上は借地権を認識しない」という整理がなされているからです。
過去には借地権の取引慣行のある地域において土地の使用貸借を個人間で行った場合には、税務当局が借地権相当額に課税を行う時代もあったようですが、現在では昭和48年11月1日付に発遣された個別通達において借地権を認識しないことが明確になっています。
しかし、見方を変えれば、別途、土地の有効活用策を提案することで、現状の自用地評価額から評価額の下げられる余地がある土地ともいえます。したがって、現状を前向きに捉える視点も求められます。